【GDO EYE】WGC、初の中国開催の意義
水曜日に上海・虹橋空港に着いてタクシーに乗り込み、「Sheshan Golf Club」へ行ってくれと言っても、運転手は全く要領を得ない。「HSBC、タイガー・ウッズ、ゴルフトーナメント」と言っても、困った顔をして首を振るばかりだ。だが漢字で書くと途端に合点し、「しぇしゃん、ゴルフ」と言って元気に車を発車させた。
空港からコースまでは30分程で着くが、その運転の荒いこと。3車線の高速道路を、ウィンカーも出さずに車の間を縫うように飛ばしていく。というより、クラクションを鳴らしながら、遅い車を蹴散らしていく。怖くなってシートベルトをしようとしたが、見当たらない。仕方なく、天井から出ているバーにしがみついて気を休めた。
今週、アジアで初めてのWGCイベントが開催されている。コースでも、現地の警備員やボランティアスタッフはほとんど英語が通じず、どの程度このイベントの事を理解しているのか定かではないが、タイガー・ウッズは「中国にとってだけでなく、アジア全体にとって意義のある大会」と位置づける。
もちろん、他の大会と同じようにギャラリーによる写真撮影は禁止されているのだが、「途中までカメラ禁止とは気付かなかった」と石川遼は振り返る。「でも、あれだけの人数だと、注意する人の数と比べて…、もぐら叩きみたいですね」と、半ば諦め顔だ。それでも、中国でゴルフがまだまだ認知されていないと考えれば、仕方のないこと。それを広めるために、このイベントが大切な意味を持っていることも確かだろう。
とはいえ、日本では見当たらない規模のコースや、ウッズ、石川を見て目を輝かせている群集を見ると、ここでゴルフが根付くのもそう遠い未来だとは感じられない。もしかしたら、2016年のオリンピックで金メダルを獲るのは、今は無名の中国選手かも知れないと空想した。(編集部:今岡涼太)