2022年 全米プロゴルフ選手権

涙の大逆転V トーマスが全米プロ初優勝から歩んだ5年間

2022/05/23 13:03
大会2勝目に感情があふれた

◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 最終日(22日)◇サザンヒルズCC (オクラホマ州)◇7556yd(パー70)

これまでのどんなタイトルを獲得したときよりも、ジャスティン・トーマスから感情があふれていた。「勝つということは、とても難しい。僕が出始めたときよりも、今のツアーの方が勝つことが難しくなってきているんだ」。2017年に続く大会2勝目でも、ツアー15勝目でも、これがシーズンの初勝利。とてつもない重みを感じた。

首位と7打差からのスタート。3日目の夜にリーダーボードを確認してから、正規の18番のパットを打つまで一度も見なかったという。「僕の上にはたくさんの素晴らしいプレーヤーがいたけれど、彼らはメジャーで勝ったことがない。でも、僕もしばらく勝っていない」。ひたすら自分のプレーに集中し、目の前の一打に全神経を注いだ。

「ちょっと鳥肌が立ったよ。あとちょっとかもしれないって」と振り返るのは、通算4アンダーとした12番のバーディ。ギャラリーの熱狂ぶりから優勝争いの“気配”を感じた。さらにアクセルを踏み込んで3人が並ぶこの日のベストスコア「67」で回り、ウィル・ザラトリスとのプレーオフに持ち込んだ。「とても落ち着いていた。自分のやりたいことができた」というプレーオフは、2ホール目の17番パー4で1オンに成功してバーディ。一気にビッグタイトルを引き寄せた。

キャディのジム・マッケイ氏とはコンビを組んでから初優勝でもあった

前回のメジャー優勝からの5年間で出会いと別れがあった。ルーキー時代からバッグを預けたジミー・ジョンソン氏と離れ、かつてフィル・ミケルソンの相棒だったジム・マッケイ氏とコンビを組むようになったのが昨年のこと。前日「74」で優勝争いから後退しかけたとき、マッケイ氏の言葉に救われた。「君は毎週のように優勝争いに加わっている」「自分自身に厳しくなりすぎる必要はない」。ネガティブな感情が消え去った。

昨年2月には祖父・ポールさんが死去。クラブプロとして活躍したポールさんは1960、61年と「全米プロ」にも出場した。「だから、この試合を勝つことは本当に特別なんだ。おばあちゃんと話すのが楽しみだ。おじいちゃんも、きっとどこかで見て応援してくれていたはずだから」とかみ締める。

タイガー・ウッズも勝ったサザンヒルズCCでワナメーカートロフィーを掲げた

「5年というのは長い時間だ。全てが少しずつ良くなっていると思いたい。全てを見直す必要なんてないんだ。あと30yd遠くへ飛ばす必要もない。クラブもボールも変える必要もない。ただ、1%でも良くなりたいという気持ちが大きい。大きな違いといえば、体重が15ポンド(約6.8㎏)くらい増えたことかな」

最終日7打差からの逆転劇は1978年のジョン・マハフィーに並ぶ大会記録。このサザンヒルズCCで行われた前回2007年大会を制したタイガー・ウッズに続けたこともうれしい。どこまでも特別な1勝を刻んだ。(オクラホマ州タルサ/亀山泰宏)

2022年 全米プロゴルフ選手権