2022年 マスターズ

「雰囲気が緊張」のバトラーキャビン/マスターズチャンピオンの世界

2022/04/09 15:12
オーガスタナショナルGCのバトラーキャビン。室内に放送ブースが設けられる

◇メジャー第1戦◇マスターズ 2日目(8日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7510yd(パー72)

「マスターズ」の前回大会王者には毎年、ディフェンディングチャンピオンに課せられる仕事や、伝統的なしきたりがある。松山英樹は2022年、その世界に初めて足を踏み入れた。

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マスターズを制した選手が“勝者の証し”グリーンジャケットに最初に袖を通すのは表彰式ではなく、中継局CBSのスタジオである。クラブハウスの脇、10番ティイングエリア近くに立つバトラーキャビン(Butler Cabin)と呼ばれる白い小屋には、大会期間中、地下にテレビカメラとモニターのある放送ブースが設置される。

1964年、オーガスタナショナルGCのメンバーで、金融界で名を馳せたトーマス・バトラー氏の名を冠してつくられたキャビンで、優勝者インタビューが行われたのは翌65年のこと。当時、大会を制したのはジャック・ニクラスだった。

それ以前は、ロバーツ・キャビン(マスターズ創始者のひとりであるクリフォード・ロバーツ氏に由来)を使用していた。オーガスタナショナルGCにはこれらを含め10前後のキャビンがあるという。それぞれにベッドルームが設けられ、マスターズウィーク以外の期間はコースをプレーする人々の宿になっている。

2020年、バトラーキャビンでグリーンジャケットを羽織るウッズとダスティン・ジョンソン(Augusta National via Getty Images)

“球聖”ボビー・ジョーンズの肖像画が暖炉に掲げられたバトラーキャビン。松山は「雰囲気が緊張します」と話す。コースのチェアマン(現在はフレッド・リドリー氏)、実況担当のジム・ナンツ氏が待ち構えるインタビューエリアは優勝者だけでなく、その前日までの上位選手が招かれるため、昨年優勝する前から何度か入った経験があった。

マスターズに初めて出場した2011年、アジア人初のローアマチュアの通訳を務めたアラン・ターナーさんは元メジャーリーガー、イチローさんの専属通訳でもある。そして10年後、アジア人初のマスターズチャンピオンの通訳を務めたのは、長年連れ添ったマネジャーであり、アランさんの父であるボブ・ターナーさんだった。

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