ハワイから好調維持 精密1Wショットこそ小平智のゴルフ
◇米国男子◇AT&Tペブルビーチプロアマ 初日(3日)◇ペブルビーチGL(6972yd、パー72)、スパイグラスヒルGC(7041yd、パー72)、モントレーペニンシュラCC(6957yd、パー71)
1月「ソニーオープンinハワイ」を12位の成績で終えたあと、小平智はカリフォルニアに飛んだ。翌週「ザ・アメリカンエキスプレス」の待機選手としての出場優先順位は到着時で5番目。「出られそうもないですけど」という予感は当たり、チャンスはやはり巡ってこなかったが、「コースで練習もできるんで」と黙々とボールを打ち込んだ。
その後は自宅のあるフロリダに戻って練習を重ね、今週、再び西海岸に戻ってきた。昨年、PGAツアーのシードを失った身だからこそ強いられるタフな旅。そんなスケジュールには思わず疲弊しそうだが、小平の胸はいま期待感でいっぱいだ。2週のオフを挟んで迎えた今大会に向けた準備も充実し、「以前は調子が悪いまま、不安を抱えたまま試合を重ねていただけだったけれど、今はそれがなくすごく気持ちいい」と口にできる。
3コースを回る予選ラウンドの始まり、林間コースのスパイグラスヒルGCでの出だし10番での第1打は右ラフへ。初日、小平が1Wでフェアウェイを外したのはこれが最後だった。2ホール目の11番(パー5)、3打目となった40ydほどのバンカーショットをピンそば1mにつけてバーディを先行。14番(パー5)で2オンから2つ目を決めた。
5Iでの第2打が大きく左に出た16番、大溝雅教キャディは「ボールに泥がついていた」と明かす。アプローチミスも重なり、4オン2パットのダブルボギーにした。突如としてイーブンパーに戻っても、小平の心は波立たない。「前までなら『うわ、ダボを打った…』と焦っていたけれど、今のショットなら『またバーディを取れそう』と思える」
言葉通りのプレーは潮風が香る後半アウトで展開した。3Wでグリーン手前のエッジまで運んだ1番(パー5)をきっかけに4バーディ。7mをねじ込んだ3番(パー3)をはじめ、要所でのパーパットも光った。曲がらない1Wショットをひたすら打ち続け、同伴アマチュアの応援団からは「彼はマシーンだ」、カートでコース内のごみを回収するスタッフには「ゴルフはそんなに“イージー”なのか」と声をかけられ、ラウンド中にもかかわらずサインを求められた。
昨年まで2回の出場はいずれも予選落ち。スパイグラスヒルでのベストスコアも「73」だった。それが嘘のような堂々としたプレーぶりで「68」の4アンダー。15位と上々の滑り出しだ。
アマ2人を含む4サムでのラウンドはこの日、実に5時間半以上かかったが、ラウンド後は感触を確かめるべくすぐに練習場に向かった。「こういう方式、コースが3日間違う試合はなかなかないから、どういう流れになるか…。でもそれも楽しみです」と姿勢は前のめり。2日目はメーンコースのペブルビーチGLに立ち向かう。(カリフォルニア州ペブルビーチ/桂川洋一)