2021年 マスターズ

2年前の世界ランク2006位から「マスターズ」最終組へ ザラトリスの飛躍

2021/04/10 13:20
初出場のザラトリスがオーガスタで躍動中(提供:Augusta National Golf Club)

◇メジャー第3戦◇マスターズ 2日目(9日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7475yd(パー72)

大会前週の世界ランク50位以内という資格でオーガスタ行きの切符をつかみ、滑り込みで初出場を果たしたウィル・ザラトリスが、2日目を終えて首位ジャスティン・ローズ(イングランド)と1打差2位。1979年のファジー・ゼラー以来、史上4人目となる初出場、初優勝に挑んでいる。

「物心ついてからずっと、この場所に来たかった。永遠にここにいたいし、何も恐れるものはない」という24歳。とはいえ、ザラトリスがこの場所にいる背景には、奇跡のようなストーリーがある。

サンフランシスコで生まれ、9歳のときにテキサス州ダラスに移ったザラトリス。3歳上のジョーダン・スピースや同い年のスコッティ・シェフラーといった才能豊かな面々と腕を磨き、全米ジュニア(09年)やテキサスアマ(14年)を制すると、ウェイクフォレスト大学進学後も数々のタイトルを獲得した。

大学在学時の2018年にプロ転向したが、同年の下部コーン・フェリーツアーQTはファーストステージで敗退。ミニツアーでも回ろうとかと思っていたが、19年2月に同ツアー「パナマ選手権」のマンデークオリファイを突破すると、その後も何試合かの出場権をつかんでトップ10入り3度。だが、シーズン終盤のコーン・フェリーツアーファイナル3試合のうち、2試合で1打届かず予選落ちに終わり、PGAツアー昇格は果たせなかった。

「それから3カ月間、自宅でずっと1打の違いでシード権を取れるか取れないかが変わるということを考えさせられて、それが大きなモチベーションになった」と振り返る。

24歳のザラトリスが2位に浮上して週末へ(提供:Augusta National Golf Club)

翌2020年は新型コロナウイルスの感染拡大でツアーが中断されるまで、5試合すべてで予選突破し、2度のトップ10入りを記録。さらに6月のツアー再開後は優勝1回を含む、5戦連続トップ10と躍進した。

同年9月にウイングドフットで開催された「全米オープン」は、コーン・フェリーツアーのポイントランク上位5位の資格で出場権を得て6位入賞。その資格で出場した「コラレスプンタカナリゾート&クラブ選手権」で8位に入り、さらに翌週の「サンダーソンファームズ選手権」に出場。同大会は予選落ちに終わったが、続く「シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン」は主催者推薦を得て5位に入り、その資格で出た「バミューダ選手権」で16位となり、PGAツアーのスペシャルテンポラリーメンバーシップを獲得した。19年初めに2006位だった世界ランクは、21年3月末に45位まで浮上していた。

「ここにいるのが幸運だよ。全米オープンはコーン・フェリーツアーに集中していたから予選会を受けるつもりはなかったけど、開催が延期されて出場できた」とザラトリス。この2年で一気に世界ランクを駆け上がり、明日土曜日はローズとともに最終組をラウンドする。「18番でバーディを獲れば最終組に入れるだろうと思っていた。週末にメジャー大会で最終組を回る、特にここで回るというのは子供の頃からの夢だった」と、この日のベストショットに1.5mにつけてバーディを奪った18番のセカンドショットを挙げた。

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