松山英樹のオーガスタナショナルGCコースガイド/16番(パー3、170yd)
ゴルフの祭典「マスターズ」は4月8日(木)に開幕する。今年で10回目の出場となる松山英樹が会場のオーガスタナショナルGCの全ホールを解説。4つのあるパー3の最後は左サイドが池。トーナメントが終盤に向かうにつれ数々の名場面が生まれる。
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2005年大会最終日のタイガー・ウッズのチップインは「マスターズ」史に残るシーン。グリーン左奥からの2打目、ウェッジで転がしたボールが大きなスライスラインをつたい、最後のひと転がりでカップに落ちた。赤いシャツでの力強いガッツポーズは多くの人が目にしたことがあるはずだ。
実際のところ、あの時のウッズの第1打はミスショットといえる。「フロントエッジまでの距離は150ydほど。ピンが一番奥に立つ日でも、(ピンまでは)185ydくらい。トッププロならティショットの番手は7、8アイアンというところ。風次第で6番を持つことはあるが」(松山)。ミドルアイアンでかなり引っかけた一打が奇跡的なアプローチを生んだ。
その最終日の定番、グリーン左奥のピンポジションは「選手からすると、池とバンカーの真上にピンが立っているように見える」という。「右からの下り傾斜を使って寄せていくが、それを成功されるためにショットで落とせるゾーンの横幅は7ydくらいだけ。とはいえ、エッジまで4ydしかないピンの左側から攻めるわけにもいかない」
実はこの“左奥の日”よりも、左手前のピンポジションのほうが難度は高いという。「最終日のピンは最悪バンカーにつかまっても仕方がないと思えるが、左手前のときは池がより近くなる。右サイドが広く見えるからといって、奥のエリアまで行ってしまうとものすごく速い下りのパットを打たされる。パーパット(セカンドパット)は、3mは残ると思っていい」
右サイドにピンが立つ日も、手前と奥で2ラウンドある。「右のエッジまでは5ydほどしかないので、ショートサイドからのアプローチ、バンカーショットは避けたい。ただ、それを嫌がりすぎると左の広いエリアに落として、12、13mのバーディパットが残る。とくに右手前ピンのときは、途中に“馬の背”があるので“上って下る”パットになる。距離感がとにかく難しい」。ピンを見事に攻められたショットにはバーディチャンスが、ネガティブなショットには厳しいパットが待っている。