「きのうまでの自分に戻らずに」 松山英樹が感じる“5カ月ぶり”の心地よさ
◇米国男子◇バレロテキサスオープン 初日(1日)◇TPCサンアントニオ(テキサス州)◇7494yd(パー72)
「久々に良いプレーができて楽しかった」。松山英樹は心地よさを包み隠さず口にした。同じ気持ちになったのは「去年のヒューストンオープンの最終日以来」だという。優勝争いの末、2位で終えた同大会は昨年11月の初め。当時の「63」にスコアは及ばずとも、約5カ月後の「67」には同じくらいの価値があった。
「スイングのこと、パットの打ち方を深く考えずにプレーできたのは久々だった」
キーポイント
試行錯誤で悶々とする日々。それを打破するきっかけになり得るキーポイントが、この日は明確にあった。「朝の練習ではうまくいかず不安だったんですけど、4番のティショットをうまく打てたのが一番の要因」。チップインでバーディを先行させた3番(パー3)の直後の“3つの”ストローク。316yd先のフェアウェイをとらえた1Wショット、残り156ydをピンそばにつけた9Iでの2打目。連続バーディを呼んだ2mのパット。
「良いティショット、良いセカンド、良いパット。それをつなげられたのが良かった。その次のホールは、ミスはミスでも許容範囲(5番の第1打はフェアウェイ右サイド)。その次で良いショットを打ててバーディが獲れて…そういう“つながり”ができていた」。フェアウェイから残り138ydの2打目で3mのチャンスを作った6番で3つ目。後半13番(パー3)からの2連続バーディで、一時的に単独首位に立った。
翌週のメジャー「マスターズ」を見据えて初めて出場した大会。TPCサンアントニオはグリーンの横幅が狭くショットの精度がより問われる作り。松山の“本来の”強みが生かされるコースとも言える。午後組で最も多くのギャラリーを引き連れたであろうフィル・ミケルソン、マット・クーチャーとの同組をリードして終始、歓声を浴びた。
ターニングポイントへ
しぶとく4mを沈め、連続ボギーを免れた終盤17番は2日目以降のゲームにとっても大きい。「17番、18番でミスが出始めたところで、きのうまでの自分に戻りそうなところを“一生懸命忘れて”あしたに向かえれば」。5アンダー4位と、トップ5で初日を終えたのは実に昨年8月末の「BMW選手権」以来。「毎週毎週、毎日毎日やりながら、新たな発見がありながら、こうでもない、ああでもないってやってきた中できょうはすごく安定した」。雲間に光が射した一日をターニングポイントにする。(テキサス州オースティン/桂川洋一)