2021年 ザ・プレーヤーズ選手権

契約解除、祖父の死…トーマスは激動の2カ月から“第5のメジャー”制覇

2021/03/15 11:15
試練の2カ月を経て…トーマスがまたビッグタイトルをつかんだ(Mike Ehrmann/Getty Images)

◇米国男子◇プレーヤーズ選手権 最終日(14日)◇TPCソーグラス(フロリダ州)◇7189yd(パー72)

勝利をぐっと手繰り寄せたのはアイランドグリーンでの1mのパット。後ろの最終組の2人とのリードを、17番(パー3)でのパーセーブでキープしたジャスティン・トーマスはガッツポーズを作った。

3打差を追いスタートから7ホール、パーを並べたトーマスのスイッチは8番(パー3)でボギーを先行したところで入った。9番からの4ホールで圧巻の5アンダー。11番(パー5)では残り233ydの第2打を4Iでピンそば6mにつけてイーグルを奪い、トップの座についた。

多彩かつ正確なショットを打ち続け、パーオンに失敗したのは2打目をカラーに落とした最終18番だけ。逆転劇を呼ぶ「68」で通算14アンダー。左ドッグレッグのフェアウェイ上を池に沿うように転がった強烈なドローボールも「池に入るか入らないかは5割の確率だったけれど、絶対にうまく打てたと思った」と手応えがあった。

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メジャー、WGC、フェデックスカップ、そして“第5のメジャー”を制したのはタイガー・ウッズヘンリック・ステンソン(スウェーデン)、ロリー・マキロイ(北アイルランド)に続く史上4人目。超一流選手としての称号をまた一つ増やした。親交の厚いウッズが2月に交通事故に遭い入院中。「彼の言葉が頭の中で何度もよみがえった」という。

トーマスは1月「セントリートーナメント・オブ・チャンピオンズ」で、フラストレーションから試合中に不適切な発言をして謝罪。ラルフローレン社とのウェア契約は解除され、大いに反省した。2月上旬「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」の試合中にはクラブプロだった祖父ポールさんが死去。コーチでもある父・マイクさんは「ジャスティンにとっては大きな痛みだったと思う。先月は彼らしくなかった」と明かす。

ホールアウト直後に祖父について問われると「話ができたらいいのに…」と目頭を押さえ、言葉を詰まらせたトーマス。「最悪の2カ月だった」とタフな期間を振り返った。「祖母は『おじいちゃんはきっとプレーしてほしいと思っている』と話したけれど、あの日(祖父の死去直後)は人生で一番難しいラウンドだった。頭がいっぱいで勝とうなんて思えなかった」と心にはぽっかり穴が開いていた。

「でもそれは現実で、こういった試合で勝ちたいなら乗り越えなくてはいけなかった」。ガールフレンドのジルさんを含めた家族のサポートにも感謝し、胸を張る。ビッグタイトルや優勝賞金270万ドル(約2億9463万円)以上の価値を1勝に見出した。(フロリダ州ポンテベドラビーチ/桂川洋一)

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