2年越しのディフェンディング王者 マキロイ「ヒデキに同情」
◇米国男子◇プレーヤーズ選手権 事前情報(9日)◇TPCソーグラス(フロリダ州)◇7189yd(パー72)
新型コロナウイルス感染拡大の影響でPGAツアーは昨年の「プレーヤーズ選手権」初日(3月12日)の日中に翌日からの無観客開催を決め、その夜に大会の中止とシーズン中断を決めた。前年王者として臨んだロリー・マキロイ(北アイルランド)は第1ラウンドを「72」で回り、首位発進した松山英樹とは9打差がついていた。
ラウンドのスコアは取り消され、全選手は今年再びゼロからのスタート。「ヒデキよりはちょっと気分がいいね。去年、誰かに同情するとすればヒデキだった。僕は終盤になんとかバーディを獲ってイーブンにする、ひどいオープニングラウンドだった」。黄金のトロフィに刻まれた歴代王者の名前を眺め、「僕の下には誰の名前もないから、まだ僕がディフェンディングチャンピオンみたいだね」と2年越しの連覇に向けて仕切り直す。
マキロイは今大会を「世界が、特にスポーツ界が激変して1周年」の試合と位置付けた。
昨年3月、コロナ禍で欧州男子ツアーや日本女子ツアー等のシーズンをはじめ、各スポーツ界が続々とシーズンの中断に追い込まれた中、米国の反応は遅かった。TPCソーグラスでも開幕前、毎年恒例の人気アーティストによる野外ライブが予定通り敢行され、老若男女が場内で大騒ぎしていた。
C.T.パン(台湾)はツアーの感染対策の未熟さを批判して大会を棄権した。他国とは明らかな温度差があり、PGAツアーの決定は選手に感染者が出たNBAの中断を受けたものだった。マキロイも「去年の週のはじめ、人々が(コース内で)拳やひじをぶつけ合っていたのを見て、何をやっているんだ、バカみたいだと思っていた。その5日後に世界はシャットダウンした」と違和感を持っていた。
6月に再開されたツアーは9月に新しいシーズンを迎え、選手関係者は毎週のPCR検査を実施し、来場者数も限定されている。
以前のような日常には戻っていないが、マキロイは「ここで不平は言えない」と話した。「大会には(以前よりも)早く来て検査を受けなくてはいけないし、(感染拡大防止のための)ルールもある。ファンがいないことで雰囲気は以前よりも良くない。でも相対的に考えれば、この大変な状況では大したことじゃない。この1年の生活が大変だったというのは誤っていると思う。世の中の多くの人に比べれば、ツアーにいる人々は本当に幸運だった」と、いまある状況に感謝した。(フロリダ州ポンテペドラビーチ/桂川洋一)