「もうちょっと、もうちょっと」 松山英樹が“明るくなれている”理由
◇世界選手権シリーズ◇WGCワークデイ選手権 事前情報◇ザ・コンセッションGC (フロリダ州)◇7474yd(パー72)
多くのトップ選手がそうであるように、松山英樹は前週の「ジェネシス招待」から4連戦に臨む予定でいる。その“初戦”で予選落ちを喫し、週末はフロリダ州内の自宅に滞在。最近は体調が芳しくなく、ゴルフが本調子と言えない中でも、醸し出す雰囲気は重苦しくない。
今年から契約した目澤秀憲コーチが今月初旬の「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」からチームに合流した。会場で練習に帯同できるスタッフが制限されるコロナ禍にあっても、可能な限り目を凝らしている。
新しい風を吹き込ませたからといって、楽観的にはならないのが松山でもある。コーチの存在について「まだ分からない。(契約後)まだ1回も良い成績を出せていないので」と態度は厳しくもある。「(ゴルフの悩みを)話せることは、うん、大きい。でも、話せるからイイというわけでもないかもしれない。話せることで気持ちはラクになっているけれど、それが自分の成績に比例しなかったら意味がないことだから」
新コーチと求める手応え
ただ少なくとも、目澤コーチがいま、コース内外で素直に意見交換できる相手であることは間違いなさそう。開幕前日のプロアマ戦を終えて打ち込みに向かう際、米ツアー参戦時からアドバイスをもらってきたプロコーチ、ピート・コーウェン氏に新たな仲間を自ら紹介する場面もあった。
好成績を残したい気持ちでいっぱいだが、感触を伴わないそれでは納得がいかない。「欲しいのは手応え。手応えがあったら成績はついてくると思う」
ロサンゼルスでの「ジェネシス招待」では課題のパットが復調した反面、ショットが乱れた。「どっちの手応えも欲しい。10%の手応えがあったり、なかったりで。10%が15%になったり、5になったり、0に戻ったり…。多分『もうちょっと』なんだけど」。口にする数字がずいぶん小さいようで、そのわずかな“気づき”が、好感触を20%、50%…といった具合に一気に引き上げる「可能性がある」という。
「だから、ここまで明るくなれてもいる。成績が出ていないのは苦しいけれど、『もうちょっと、もうちょっと』というのが続いている。『どうしようもない』が続いていたら、こんなふうにはいられない」と笑顔も多い。予選落ちのない4日間大会はジョン・ラーム(スペイン)、トニー・フィナウと同組でスタート。初日は29歳の誕生日でもある。トップレベルでのせめぎ合いを繰り返しながら、その時をじっくり待つ。(フロリダ州ブラデントン/桂川洋一)