獲得賞金は医療費に ニーマンはいとこの命のために戦う
◇米国男子◇マヤコバゴルフクラシック 初日(3日)◇エル・カマレオンGC(メキシコ)◇パー71(7017yd)
ホアキン・ニーマン(チリ)のキャップには、願いのこもった小さなリボンが飾られている。22歳がいま懸命にプレーするのは、ツアー2勝目のタイトルのためだけではない。
ニーマンは先月、自身のインスタグラムに病と闘う、いとこの話を投稿した。10月下旬に生まれたラフィタ・カルデロンちゃんは生後間もなく脊髄性筋萎縮症と診断され、チリ国内の病院で集中治療を受けている。
遺伝子の疾患であるこの病は、深刻な筋緊張低下からいずれ自力で体を支えられず、呼吸や飲食にも困難をきたす。寿命は2年とも言われ、90%以上が生後20カ月以内に命を失うか、人工呼吸器でのサポートが必要になるという。
脊髄性筋萎縮症については昨年、特効薬として米国で遺伝子治療薬が承認されたが、薬価は史上最高額とされる210万ドル(約2億1800万円)にも上る。その注射薬も生後100日以内に接種しなければ、十分な効果が望めない。現在、ラフィタちゃんの両親が資金をクラウドファンディングで募っており、ニーマンは2週前の「RSMクラシック」から獲得した賞金全額に、1イーグルあたり1万ドル、1バーディで5000ドルを加えた額を贈ることを決めた。同大会での募金額は15万2450ドル(約1581万円)とした。
寄付を決めて迎えた2試合目、ニーマンは首位と1打差の5アンダー2位でスタートを切った。他の選手の賛同を得るべく、追加のリボンを自身のキャディバッグに潜ませ、ロッカールームやスタートティ周辺にも置かせてもらった。「ツアーのみんな、メキシコでのサポートには本当に驚いている。ラフィタの話を多くの人に知ってもらうための手助けしてくれた。選手たちの支援も本当にありがたい。僕たちは彼のために戦う」