2020年 マスターズ

11月のオーガスタ 無観客で攻め方が変わる?

2020/11/12 14:36
15番ホール。無観客開催で狙いどころは変わってくる?(提供:Augusta National Golf Club))

◇海外メジャー◇マスターズ 事前(11日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)7475yd(パー72)

無観客で11月に行われる史上初のマスターズ。2013年大会覇者のアダム・スコット(オーストラリア)は「ギャラリーがいないということが、間違いなく一番大きな違い」という。「自分にとっては、オーガスタのスタートティが1年で最も緊張する。期待と、普段ならば8カ月ぶりのメジャー大会ということ、それに、ただマスターズであるという事実だけで」。今年、その緊張は幾分緩和されるだろう。だが、その違いはけっして精神的なものだけではない。

観客を入れないことにより、コースにはホールを仕切るローピングも、見慣れたギャラリースタンドも存在しない。リー・ウェストウッド(イングランド)は「4番はかなり違って見える」という。2010年大会で石川遼が打ち込んだグリーン左サイドのスタンドは消え、代わりに見慣れない空間が広がっている。「いくつかのホールは、普段とはかなり違った攻め方ができるだろうね」

ロリー・マキロイ(北アイルランド)が一例を挙げる。「たとえば2番ホールのセカンドショットは左奥のピンの場合、(右奥の)3番ティの近くまで打っていっても悪くない。いつもならたくさんの人たちが踏みつけて緑の砂みたいなライだけど、今年は完璧なライから打てる」

いつもとは違う風景の13番ネルソンブリッジを歩くマキロイら(提供:Augusta National Golf Club)

「今年はユニークな機会だ」というブライソン・デシャンボーは、13番のティショットは14番のフェアウェイ方向、18番も左バンカー先のいつもなら大勢のパトロンが集まるエリアをターゲットにするつもりという。

トミー・フリートウッド(イングランド)も「17番グリーンに立つと、8番グリーンまで見渡せる。15番は右サイドに広大なスペースがあるし、13番もそう。その空間は以前からあるけれど、人がいないということで全く違って感じられる」と口をそろえた。

今年、オーガスタデビューを果たすマシュー・ウルフにとっては、無観客は福音にもなりそうだ。「1打リードで最終ホールに来るとしたら、個人的な意見ではあるけれど、何万人もの人々がグリーン周りに集まって全ショットに注目しているよりは、少しリラックスしてできると思う」という。今年は、ウルフを含む26人が初出場だ。

懸念される天候だが、最も寒くなりそうな土曜日も最高気温は21度ほどに上がる予報。初日の木曜午後に一時的に強い雨が降りそうだが、週末にかけて天気は回復傾向となっている。

スコットは「もしウェットなコンディションになったら、高い正確性を求められるこのコースでは、もし球に泥が付くと弾道コントロールを失って、とても難しいものになる」と警戒する。

2018年大会でマキロイはアザレアの茂みに打ち込んだ

コースを彩る花は少なく、代わりに紅葉した木々が秋の装いをまとっている。「春は13番のアザレアや、すべてがきれい。今年は少し景色も違う」とマキロイは言う。「僕は誰よりも、より近くで観察しているから」と2018年の自身のミスショットを暗示して、いたずらっぽく微笑んだ。

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