2020年 BMW選手権

クラッチパットの応酬 ラームとジョンソンの頂上決戦

2020/08/31 11:21
PO1ホール目でミラクルパットを決めたラーム(左)と、それを見詰めるジョンソン(Keyur Khamar/PGA TOUR via Getty Images)

◇米国男子プレーオフ第2戦◇BMW選手権 最終日(30日)◇オリンピアフィールズCC(イリノイ州)◇7366yd(パー70)

やられたらやり返す――。世界ランキング2位ジョン・ラーム(スペイン)と1位ダスティン・ジョンソン。ゴルフ界の覇権を争う2人が白熱の好勝負を演じた。

3打差6位から出たラームがボギーなしの6バーディで「64」をたたき出し、通算4アンダーでホールアウト。1打差で追う最終組のジョンソンのセカンドショットが18番でピン上13mについたとき、勝敗は決したかと思われた。

キャディを務める弟のオースティン氏が読んだライン通り、大きく左に打ち出したボールは右へカーブを描きながらゆっくりと傾斜を下り、最後は少しだけ左に切れてカップイン。「信じられないようなパットを決められた。自分でも笑っちゃったよ」と振り返る一打でプレーオフに持ち込んだ。

再びの18番となったプレーオフではラームがティショットを右のラフに入れ、セカンドショットもピンの左上20mに。「3フィート(約1m)以内に寄せられれば」というパットは大きな弧を描いてカップに飛び込んだ。直後に打ったバーディパットがわずかに届かなかったジョンソンも「ジョン(ラーム)は(正規18番の)僕を上回る、さらにとんでもないパットを入れてきたんだ」と脱帽するしかなかった。

2017年「ファーマーズインシュランスオープン」でも18mを沈めるイーグルフィニッシュで初優勝を飾っていたラーム。「左サイドに打って傾斜に乗せる。考え方は、3年前とすごく似ていたんだ。尾根の上から大きく右に曲がり始めて、最後はピンに向かって左に曲がる。映画『バガー・ヴァンスの伝説』を見たことがある人ならわかると思うけど、そんな感じだった」。物語のような美しい締めくくりに胸を張った。

前日5番ではグリーン上のボールをマークせずに拾って1罰打を受けた。「あれがなかったら、優勝していたかどうかわからない。普通に2パットして(パーで)満足していたかもしれない。自分に腹は立ったけど『行くしかない』と集中して、アグレッシブにプレーするきっかけにもなったんだ」。週末のボギーは、その第3ラウンド5番の1つだけ。痛恨のミスが、逆転の原動力になった。

フェデックスカップランク2位に浮上したラームに対し、トップを守ったジョンソン。「まだ僕は1位にいる。来週が楽しみだ」とうなずいた。ラームに2打のリードでスタートする、初の年間王者をかけた72ホール。頂上決戦には続きがある。

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