2020年 ザ・プレーヤーズ選手権

中止、延期でなく無観客 PGAツアーのコロナ対策に不満渦巻き棄権選手も

2020/03/13 11:16
2018年「ウィンダム選手権」ではキャディーを務めたミシェル夫人を気遣って自らバッグを担ぐ姿が話題になったC.T.パン。スタート前に棄権した(Kevin C. Cox/Getty Images)

◇米国男子◇ザ・プレーヤーズ選手権 初日(12日)◇TPCソーグラス(フロリダ州)◇7189yd(パー72)

新型コロナウイルスの感染拡大に関するPGAツアーの対策について不満の声を上げた選手が、試合を自主的に棄権した。ツアーは13日の大会2日目から4月第1週の「バレロテキサスオープン」まで無観客試合の実施を決めたが、ツアー1勝のパン・チェンツェン(台湾)が「ザ・プレーヤーズ選手権」初日のスタート前にSNSで態度を示しフィールドから外れるなど、対応に批判的な選手もいる。

パンはこの日の朝、自身のツイッターに「おそらく僕はプレーしない唯一の選手だろう。そして、手指消毒液はクラブハウスにもロッカーにもダイニングにも同じ数(1つ)しかない」と、大会を批判する意図を込めたと思われる文章を掲載した。その後、投稿は削除され、新たに「僕はザ・プレーヤーズ選手権を棄権することを選択する。妻と自分をコロナウイルス感染のリスクから守りたい。僕たちは元気で(ほかの)家族も元気だ。僕らのライフスタイルはサーカスみたいで、あちこちに旅をする。今週はプレーしないことで注意を促す時間だと思う」と同ツイッター上で主張した。

この件を通じて、米国のアダム・シュパック記者は「コロナウイルス関連で棄権したパンについて、パット・ペレスが『彼の隣に駐車したんだ。僕の車に触っていなければいいな』と発言した」と投稿。パンは返信する形で「どうして僕が彼の車を触るの? 同じ車(大会が選手に用意した移動車)じゃないか。パットのユーモアは楽しいね」と受け流している。

ロリー・マキロイは検査の必要性を訴えた※写真は2019年「ウェルズファーゴ選手権」(Sam Greenwood/Getty Images)

PGAツアーは今大会開幕前、選手の関係者を集めてミーティングを行った。コロナ騒動について、ゴルフが広大なフィールドを使う屋外スポーツであることを理由に感染リスクが少ないと説明。ただしルーカス・グローバーらは、ツアーが決断を他のスポーツに比べて先延ばししていた理由が、今週の試合がツアーの旗艦大会「ザ・プレーヤーズ選手権」であるからではと疑問を投げかけた。

現在は欧州ツアーを主戦場にするリー・ウェストウッド(イングランド)はSNSで「米国のコロナウイルスに対する他のスポーツの対応を考えると、PGAツアーのやり方は驚き。たしかに僕たちがプレーするのは密閉された競技場ではないが、(ゴルフ)ファンの年齢層の幅からすると、より影響がある」と指摘。新型コロナウイルスに感染した場合、体力のない高齢者が重症化するケースが多いことを踏まえて批判した。

奇しくもPGAツアーの決定から約5時間後、米女子ツアーはメジャー初戦「ANAインスピレーション」を含めた今後3週間のツアー大会の延期を発表した。関係者によると、「ANA」の開催コースはすでに非常事態宣言が出たカリフォルニア州にあること、近隣では今月初旬にテニスの「BNPパリバ・オープン」が中止になったことも影響しているという。この日、ロサンゼルス郊外のディズニーランドも月末までの休園が決まった。

世界ランキング1位のロリー・マキロイ(北アイルランド)は無観客試合に対して「欧州での状況、とくにイタリア北部が封鎖されたり、アイルランドで学校や大学が休校になったことを考えれば驚きはない」と理解を示しつつ、「何よりも僕らには(ウイルス)検査が必要」と陽性反応が出た場合の中止も視野に入れながら、ツアーが踏むべき次のステップを期待した。(フロリダ州ジャクソンビル/桂川洋一)

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