「ZOZO」で背負った重圧を吐露 松山英樹の“責任感”
◇世界選手権シリーズ◇WGC HSBCチャンピオンズ 事前(30日)◇シェシャンインターナショナルGC(中国)◇7264yd(パー72)
激闘からまだ2日しか経っていない。28日(月)までもつれた「ZOZOチャンピオンシップ」を2位で終えた松山英樹は、慌ただしくアジアシリーズ最終戦の準備を整えた。29日に中国入りし、30日のプロアマ戦でコースをチェック。視線を翌日に向けながら、力を振り絞った母国でのゲームで自身にかかった重圧を吐露した。
タイガー・ウッズが米ツアーの史上最多勝利に並ぶ通算82勝目を挙げた歴史的一戦。最後までタイトルを争ったのは、ホームの期待を一身に背負った松山だった。「良い緊張感でしたけど、(大観衆に)観られている、崩してはいけないというプレッシャーがありました」と振り返る。「タイガーがトップにいて、2打差、3打差というところに10人くらいいれば(気持ちは)少しラクだったかもしれないが、結果的にひとりでやる(ぶつかる)立場になって…。“ゲーム性”をおもしろくなきゃいけないとも思った」
2年2カ月ぶり、3シーズンぶりのタイトルに向けた熱意だけでなく、それまでの展開で“ダブル主演のひとり”になったことも理解していた。大会2日目が大雨で順延され、勝負は27日(日)でも終わらなかった。持ち越された28日朝の段階で、6ホールを残して3打差の2位。現実的にウッズを逆転できる可能性があったのは彼だけだったと言っていい。
「しかも月曜日でしたから。テレビ中継があったかは知らないんですけど(緊急生中継)、おもしろくない展開にするわけにはいかなかった。毎週あれをやっていたら慣れると思うんですけど、(優勝争いが)久々だったんで疲れました(笑)」。国内初開催の米ツアーを成功させたい思いは、大会関係者のみならず日本人ナンバーワンプレーヤーも一緒だった。
ここ上海で後続に7打差をつけて圧勝し、世界選手権シリーズ初勝利を挙げたのは3年前のこと。「優勝以外(の年)はダメ」と笑うが、2週前の韓国「ザ・CJカップ」で3位、日本で2位となれば、次こそは…という期待が高まるのも無理はない。ツアー公式サイトのパワーランキング(優勝者予想)でも、ロリー・マキロイ(北アイルランド)に次ぐ2番目と有力視されている。
「(重圧から)解放されたけど、疲れはなかなかとれない。でもゴルフだから、やっているうちに取れていくでしょう」。厳しい戦いを終えたいまは、心身ともにリラックスムードが漂う。再びテンションを高めるのは週末だ。今大会は年内最後の米ツアー出場となる見込み。夏場に目標に掲げた、年間の優勝者のみが集まる来年1月「セントリートーナメントofチャンピオンズ」(ハワイ州プランテーションコースatカパルア)出場をかけたラストチャンスでもある。(中国・上海/桂川洋一)