「10回に1回のアプローチ」松山英樹は3日連続アンダーパー
◇米国男子◇ザ・ノーザントラスト 3日目(10日)◇リバティーナショナルGC(ニュージャージー州)◇7370yd(パー71)
パーオンを逃したホールは実に8つ。松山英樹は強風に苦労しながらスコアを伸ばした。6アンダー20位タイから4バーディ、3ボギーの「70」で回り、通算7アンダー。後退して迎えた終盤6ホールで挽回し、17位タイで最終日を迎える。
ムービングデーの2サムで相対したのは7月「全英オープン」でメジャー初制覇を遂げたばかりのシェーン・ローリー(アイルランド)。1番で大歓声を耳にした松山は「勝てば、ああいう風になるんだなと。アメリカ人じゃなくても」とうなずいた。
この日、一番の敵になったのはコースから自由の女神に向けて吹いた西風。午後は3日間で最も強い、風速5m/s以上を記録した。前半5番、右ラフから木を越える第2打を左サイドのクリークに入れ、ボギー先行で11番までに2ストローク落とした。「フォローの風が吹くホールではボールが止まらなかったりするので、計算が難しかった」。乾いたグリーンはスピードを速め、チャンスをなかなか作れない。「(調子は)悪くはなかった。ただ、なぜがスコアにならないなという感じ」と、もどかしい展開を引きずった。
一時は40位台まで順位を下げたところで、ショートゲームが巻き返しの好材料になった。13番(パー5)では左足下がりのラフから、ウェッジでの3打目を2mに寄せてバーディ。「きのう(2日目)同じようなアプローチで転がして失敗したので、上げようかなと」という判断が実る。
15番で12mのスライスラインを読み切ると、16番は圧巻の一打で2連続バーディを決めた。325ydのパー4で1Wショットはグリーン左手前のラフへ。砲台グリーンのエッジまで20yd、そこからピンまでは5ydほどしかない。「フェアウェイにあればどうにかなるかなと思ったんですけど、(スピンが効きにくい)ラフだったから“ごめんなさい”と。パーでいいかなと思った」という状況から、ロフト52度のウェッジでクッションを効かせて1mにピタリ。「ああやって打つしかなかった。“10回に1回くらい”のアプローチ」で3日連続のアンダーパーを決定づけた。
トップとの差は7ストロークとなり、「優勝は、きょうの(ブラント)スネデカーみたいなゴルフ(63)をしないと厳しい。でもそういうゴルフができたらいい」と意気込む。猛チャージといかなくとも、2週後のプレーオフ最終戦「ツアー選手権」(ジョージア州・イーストレイクGC)出場に向け、フェデックスカップポイントランキング上位30位を争う戦いは終わらない。「来週(BMW選手権)までプレッシャーを“伸ばしたくない”と思うので、頑張りたい」と緊張感をキープした。(ニュージャージー州ジャージーシティ/桂川洋一)