2カ月ぶり米ツアー 宮里藍は「あしたにつながる」連続バーディ締め
◇米国女子◇ウォルマート NW アーカンソー選手権 by P&G 初日(23日)◇ピナクルCC(アーカンソー州)◇6331yd(パー71)
今季を現役ラストシーズンとする宮里藍は、引退表明後初の米ツアーに臨み、3バーディ、4ボギーの「72」で発進した。1オーバーは首位に9打差の88位タイ。上がりの2連続バーディで3日間大会での巻き返しに望みをつないだ。
4日間で3万4750人を集めた「サントリーレディス」から約2週間。宮里が12年にわたって身を投じてきた主戦場は、日本ツアーとはやはり違う。予選ラウンドでメインの組のひとつに入っても、ロープサイドで帯同する来場者は多くて100人程度。それでも「根本的にアメリカでは“対・自分”のプレー。自分の集中力を自分で上げていく。でも、それは慣れっこ。ティに立てば(スイッチは)オンになる」と矜持をのぞかせて約2カ月ぶりの米ツアーをスタートさせた。
この日は天候も、大会を通じて好天に恵まれた「サントリー」とは大きく違っていた。午前中に穏やかだった空は、宮里のティオフ直後に雷雲をかき集め、強風を吹かせた。「1番でティショットを打ってから、いきなり天気が悪くなった。『うわ、なんじゃこりゃ』という感じだった(笑)」。前半4番で1Wショットを放った直後に、雷雲接近のため約45分間の中断。再開直後の同ホールからショートパットのミスが続き2連続ボギーが先行した。
「しばらく日本でプレーしていた時間が長かったので、まだコースの感触、特にグリーンの読み、タッチが思うように出ていない」とパッティングでチャンスを逸すシーンが多かったラウンドは、上がり2ホールで魅せた。17番(パー3)は7Iでピンそば1m、18番(パー5)は1Wと7Wで2オンに成功して連続バーディフィニッシュ。「なんとか明日につながった」と、西日の影で安どした。
ギャラリーの数は違っても、ロープの内側には宮里が突き詰めてきた「世界」があった。いずれも同大会の歴代チャンピオンで、世界ランク1位に上り詰めた経験のあるリディア・コー(ニュージーランド)、朴仁妃(韓国)との同組プレー。国籍も育ちも違う3人は、英会話で通じ合い、終始和やかにラウンドした。「思いのほか緊張せず、楽しみが勝っていた。それぞれ全然違うスタイルでプレーをしている」。数カ月後にクラブを置くことを決めていても、まだ思う。「ゴルフって、おもしろいなぁ…」
まずは再び同じ組で回る2日目に、挽回が求められる。「スコアを伸ばしていかなきゃいけないので厳しいですけど、しっかり頑張りたい」と笑顔に闘志をしまい込んだ。(アーカンソー州ロジャーズ/桂川洋一)