宮里藍が米ツアーで再出発 日米で異なる「引退」のとらえ方
◇米国女子◇ウォルマート NW アーカンソー選手権 by P&G 事前情報(21日)◇ピナクルCC(アーカンソー州)◇(パー71)
宮里藍は23日(金)開幕の「ウォルマート NW アーカンソー選手権 by P&G」で、今季限りでの現役引退を表明後、初めて米ツアーに出場する。2週前の国内ツアー「サントリーレディス」終了後に再渡米し、戻ってきた主戦場でも仲間たちから惜別の声を集めた。
アーカンソーに入った19日(月)は、長年当地で親交を深めてきたホストファミリーに招かれて32歳の誕生日を祝った宮里。プロアマ戦でコースに出た開幕2日前の21日(水)には公式会見に出席し、日本と同様に引退の決断に至る経緯について説明した。
「ルーキー時代にクリスティナ・キム、ジェニファー・ロザレスに夕食に誘ってもらったとき、まったく英語ができなくて小さな辞書を持参したのが米ツアーでの最初の思い出」と笑顔を見せ、約20分間に及ぶ英語での質疑応答もそつなくこなした。今後の日本ツアー出場について問われると「まだ決めていないけれど、多く出ることはない。出場しても1試合、2試合というところ」と話した。
米ツアーで9勝を挙げ、2010年には世界ランキング1位に到達した。そういった数字面での実績よりも、決断を受けた周囲の反応が誇らしく思える。「(米国に)帰ってきて、いろんな人に話しかけてもらって、ハグをして…。いなくなるのが寂しいと言われて、次の門出を祝ってくれる。コミュニケーションを取っていると、そっちに“重み”を感じる。居場所があったと思える。その居場所の重さで積み重ねてきたものを感じている」という。
キャリアの終止符が、新しい人生のスタートと実感できるのは米国ならでは。「日本とアメリカの文化の違いだと思う。日本では『さみしい、さみしい』という感じですけど、こっちは”Congratulation”、”So Happy for you.”と言ってくれる。その表現の違いに印象を受けました」。祝福の言葉が飛び交うのはもちろん、第一線を退いた後の宮里の未来への期待や楽しみが大きいからでもある。
2012年のこの大会での優勝が、今のところキャリアで最後のもの。悲願のメジャー制覇への望みはまだ捨てていない。「メジャーも頑張りたいですし、今週もこれだけ良い思い出がある。(引退までは)たぶんあっという間だけど(残り試合の数を)カウントしたことは一度もない。目の前の試合に全力を尽くしたい」。残された夢に向けた最後の挑戦が始まる。(アーカンソー州ロジャーズ/桂川洋一)