米国女子ツアー

日本ツアーの出場はどうなる? 畑岡奈紗ロングインタビュー

2017/01/05 11:30
来季から米ツアーの一員となる畑岡奈紗

そのギャップが1つの魅力かもしれない――試合中の集中した表情から一転、プレーを離れた畑岡奈紗の語り口は、じつに明るく爽やかだ。2016年12月に行われた米女子ツアーの出場権を懸けたファイナルQTを14位タイで通過。日本人最年少となる17歳で米国女子ツアー行きの切符をつかんだ畑岡にインタビューを行った。

■ファイナルQTについて

――お祝いメッセージはどれくらい届きましたか。

LINEで80件くらいとメールも何件か。中嶋(常幸)さんにも報告させて頂きました。驚いたのは、松山(英樹)さんと宮里美香さんからメッセージが来ていたことですね。松山プロには「おめでとう」って言ってもらって。(おめでとう!って返した?)はい、もちろんです(笑)。「よいニュースを届けてくれてありがとう」とか言ってもらえると、すごく嬉しいです。

――ファイナルQTのプレーを振り返ると?

はい。最終日はちょっと冷静になれなかったですね。一緒に回っていた人のラインを踏んだり、スコアカードを別の人に渡してしまったり…。

――最終日の14番では1Wショットを左のブッシュに打ち込みアンプレヤブル。あの場面はいろいろな処置ができそうでした。

いままでの私だったら、もしかすると左打ちで打とうとして空振りして、どうにもならなくなっていたかもしれません。でも、焦ってそういったことをするよりも、しっかり打てる場所までアンプレした方がいいと思いました。それは、一緒に回ったプレーヤーを見ていて、そのような場面が何度かあったからです。

――アメリカでも通用すると思ったことありますか。

(グリーン脇のカラーとラフの境目に止まった)15番のアプローチに3Uを使いましたが、いままで試合で使うまでには踏み切れませんでした。今回が初めてだったけど、そういうのは意外にできるのかなというのはありました。あそこでボギーとか打っていたら、厳しい展開だったと思います。

最終日の15番。3Uを使ったアプローチでOKに寄せてパーセーブ。これが大きかった

――ルーキー・オリエンテーションで新鮮だったこと、驚いたことは?

いろいろあったけど、たとえば日本とアメリカで同時に試合があったとして、アメリカの試合に出られる権利があるのに日本の試合に出る場合、まず“日本に出ます”っていう届けを出さないといけない。それを忘れてしまうと罰金を取られてしまう。そういうのをしっかり自己管理していかないといけません。あとはドーピングのこともあるので、食事も気をつけないといけないと思いました。

――自己紹介では「たくさん友達を作りたい」と話していましたね。

そうですね。こんなにいろんな国の人が集まるっていうことはあまりないと思います。せっかくの機会なので話しました。

■「NASA」と私生活

――ところで、奈紗さんは飛行機やロケットは好きですか。

そんなには(笑)。でも、この間オーランドの空港に着いたらNASAのお店があって、そういうのがあったら入ってしまいますね(笑)。母がピンバッジを買ってくれました。

――いつか宇宙に行ってみたいと思いますか。

うーん、考えたことないですね・・・。宇宙旅行とかですか?うん、行ってみたいですね(笑)!

――好きな食べものは?

たくさんありますけど、お肉、野菜が好きです。肉は、牛と豚と鳥があったら鳥を選んでしまいます。脂っこいものを受け付けないというか、チキンの方があっさりしている感じなので。

――ゴルフをしていないときは何をしていますか。

家でテレビを見たり、映画を見に行ったりですね。よく見るテレビ番組は野球とかスポーツ番組と、バラエティなら「VS嵐」とか。最近見た映画は「ファインディング・ドリー」。ちょっと小さい子供向けですね(笑)。最初に(ファインディング・)ニモを見て好きになりましたね。

――ディズニーで好きなキャラクターはありますか。

うーん、なんだろう。みんな可愛いからなぁ。ドナルドとか、チップとデールとか(笑)

――アメリカのファンにはどういう選手として覚えてもらいたいですか。

名前は覚えてもらいやすいと思うので、応援してもらえるようなプレーヤーになりたいです。

■来季への準備

――現時点(ファイナルQT終了時点)で、来年の日米の出場日程はどのように考えていますか?

日本の試合は2~3試合になると思います。1年目で大事なシーズンになるので、アメリカがメインになると思います。日本の試合で思い入れがある「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」には出たいと思っています。地元・茨城でやっていて、小さい時からずっと見に行っていた試合。初めて行った小学生のとき、ギャラリープラザにカップがぐるぐる回っている“ターンパッティング”というのがあって、それをずっとやっていました。当時、ゴルフはまだ、本格的には始めていなかったですね。

あと、モーガン・プレッセルさんが優勝した時、クラブハウスまで入らせてもらってハイタッチしたのをすごく覚えています。それから茂木宏美さんが優勝されたときはスタンドで観戦していて、すごく感動しました。

――このオフはどんな練習をする予定ですか。

12月26日から1月6日までマレーシアに行きます。過去3年連続で行っていて今年で4回目。1回目もそうだったけど、今年で2度目の海外での年越しになります。オフは飛距離を伸ばせるようなトレーニングとショートゲームをやりたいです。

――いま、スイングは改造中?

そうですね、2016年1月からだいぶ変わってきました。でも試合が続いたりして、まだ安定している訳ではないので60~70%という感じです。2015年はトップで(クラブが)クロスしてしまって、なかなか安定していなかったので、それを少しシャローというかレイドオフ気味にしてしいます。ただ、今度はそれを意識し過ぎてオーバースイングになったり、うまくタメが作れずにクラブが下りてきて曲がったりってことが多いです。

――球筋もドローからフェードに変えますか?

どちらか一方ではなく、どちらも打てないと戦っていけないと思うので、打ち分けもしやすいように。基本のスイングがノーマルだとしたら、どちらにも曲げられるようにしていこうと思っています。

――スイングはどのように作っていますか。

そうですね。中嶋さんとかガース(・ジョーンズ)コーチにもお聞きしますが、実際に振るのは自分で、いくらトッププロに聞いても自分でしか分からない感覚はあると思うので、頼り過ぎずにまずは自分で考えて、本当に分からなくなったら聞くようにしています。中嶋プロに教えていただけるようになるまでは、母とずっとやってきたので、そういうところは自分で考えるようにしていました。

――コースマネジメントに関しては?

去年10月から教えてもらっているガースコーチの教えが一番大きいと思います。教わる前はどこのピンでも、どれだけ端に切られてもピンをガンガン狙っていって、外しては行けない方に外してスコアを落としていくということがありましたが、今はそんなに無謀な挑戦ではなく、セーフティな攻め方ができるようになってきたと思います。

――勝みなみさんや新垣比菜さんなど、同世代に強い選手が多いのはなぜだと思いますか。

宮里藍さんの存在は大きいと思います。(藍さんが)18歳で優勝されたとき、自分は5歳とかで…。最初から藍さんみたいになりたいと思っていました。自分がアメリカの試合に来るようになって、アメリカでやる大変さをより感じるようになりました。その中でもずっとアメリカでやられている藍さんは、本当にすごいと思います。

――宮里選手のように、世界での活躍を期待しています。ありがとうございました。