復帰戦の大山志保 パット不振で出遅れも「楽しかった」
出遅れにも悲壮感はなかった。カリフォルニア州のコーデバルGCで開幕したメジャー第3戦「全米女子オープン」初日。大山志保は1バーディ、3ボギー1ダブルボギーの「76」で回り、4オーバーの106位タイ。昨年優勝争いを演じ、5位に入った大会で予選落ちの危機に瀕した。
最終18番。カップの脇をすり抜けたボールを、大山は腰を折って見送った。この日を象徴するような最後のシーン。首痛から7週ぶりの復帰戦となったメジャーの初日はグリーン上で苦しんだ。
出だし1番で4mのバーディパットがライン上でわずかにショート。4番(パー3)では4UTでの第1打がカップをかすめて奥1.5mについたが、パットはカップの右縁に蹴られた。続く5番でも2mを決めきれず、2打目をグリーン左に外した7番でボギーが先行した。
11番で2つ目のボギーをたたいたあと、15番で痛恨のダブルボギー。残り132ydの2打目を左に曲げ、グリーン手前のフェアウェイからパターで放った3打目は、傾斜を上りきらず、足元にボールが戻ってきた。4打目はエッジで止まり、結局パターを4回使った5オン1パット。「あそこはダメと思っていたのに打ってしまった。あんなに短いところであんなに引っ掛けるなんて…」とセカンドショットのミスを悔やんだ。
今大会終了後に決まる8月の「リオデジャネイロ五輪」日本女子代表。大山は2番手にいるが、後続の宮里美香は1アンダー●位、渡邉彩香は2オーバー●位で初日を終えた。
ただし、まず2人を追う展開となっても、大きなプレッシャーにはなっていない。開幕前日は完全オフ。メジャーに臨むにあたり普段と同じ調整法を貫き、近くにショッピングにも出かけて静養した。首痛についても「大丈夫」と言った。
「久しぶりの割には良かった。アプローチも、バンカーショットも自分で『おお!』と思えるところがあった。“ワクワク”はありましたけど、“ドキドキ”はない。緊張よりも、楽しい方が強かった。ダブルボギーを打って『バカなミスをしたな』と思うけれど(残りは)まだまだある」。結果を嘆くよりも、ゴルフができる楽しさを思い出したことを喜ぶ。ベテランのメンタルの強さは、こんなところにある。(カリフォルニア州サンマーティン/桂川洋一)