藍が去り、愛が来た!鈴木が自己ベストで首位浮上
藍が去り、愛が来た――。三重県にある近鉄賢島CCで行われている日本ツアー公認の米ツアー公式戦「ミズノクラシック」2日目に、この日のベストスコア「64」をたたき出して通算9アンダーとし、リーダーボードの一番上に駆け上がったのは20歳の鈴木愛。“将来は米ツアー”という自身の夢すらも追い抜かんばかりのスピード感で、18ホールを駆け抜けた。
女子ゴルフ界の変化の速さを象徴するかのような大会だ。ウェイティングで出場機会をうかがった宮里藍がコースを後にしたのは昨日のこと。今年、宮里を上回る大会史上最年少で「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」を制した鈴木が、「初めてだと思う」という上がり4連続バーディを含む9バーディ(1ボギー)を量産して、自己ベストスコアをマークし、トップに立った。
この日、同組でまわったジェシカ・コルダは「良くテレビで見ていたので、一緒に回りたいと思っていた」という鈴木の憧れの選手。「どれくらい実力があるか、近くで見たかった」というが、最後は鈴木が勢いで圧倒した。最終18番では先にピン右2mにつけたコルダに対し、残り172yを6Iで内側の1mへと運んで4連続バーディ締め。「良いショットをしたら、“グッドショット!”と言ってもらえてすごくうれしかった」とはにかんだが、この日「67」で回った今季米ツアー2勝を誇る21歳の新星も、日本の超新星の前では形無しだった。
昨年のファイナルQTは「失敗して」51位だった鈴木。今季の前半は出場5試合で4回の予選落ちと「不安を抱えながら、焦る一方で答えが見つからずに練習していた」という春先だったが、9月にメジャー大会で初優勝を飾り「今は常に落ち着いてできている」。米ツアー選手が半数を占めるフィールドにも「私は米ツアーとは思っていなくて、日本ツアーという感じ」とあっけらかんと言い放った。
もし優勝すれば、米ツアーのシード権もついてくるが、「まだ考えていない」と苦笑い。「(風邪気味で)体調もあまり良くないし、自分のベストを尽くして米ツアーでどこまでできるか試してみたい」と無心で最終日に挑む。(三重県志摩市/今岡涼太)