2014年 クラフトナビスコ選手権

メジャー初戦「クラフト・ナビスコ選手権」を戦う日本勢の心理状況

2014/04/05 13:24
プレー中ですが、ギャラリーがつれてきたペットとしばしお話し。息抜きが肝心肝心

今シーズンメジャー初戦クラフト・ナビスコ選手権がカリフォルニア州ミッション・ヒルズCC ダイナ・ショア・トーナメントCを舞台にいよいよ幕を開けた。年に5回しかないメジャー大会は、ゴルファーなら誰もが勝ちたい試合。選手はそこに照準を合わせて調整を行うが、本番ではいかにいつもと変わらぬ平常心で戦えるかが勝負の鍵を握る。

宮里藍にとってメジャー獲りは悲願。誰よりも思い入れが強い分、気持ちの作り方は難しい。以前は「私には(メジャー優勝は)まだ早い」と遠慮していたが、ここ数年は「もう狙ってもいい」と勝ちにこだわってきた。こだわるあまり気合いが空回りする場面もあったが、最近は「メジャーだからといって変わったことをするのではなく1つ1つ積み重ねて行く」ことをテーマに戦っている。

練習場で1球ごとにターゲットを確認し、本番と同じプレショットルーティンを行って球を打つ姿は印象的だが、これは練習場とコースのギャップを埋める作業である。

2007年から師事するメンタルコーチ、ピア・ニールソン&リン・マリオット両女史のアドバイスもあり、ただ闇雲に球を打つのではなく、1球ごとにターゲットを決め、球筋をイメージし、本番と同じルーティンでショットを打つ訓練を積み重ねてきた。

ときには「これは全英オープン最終ホールのティショット」というように、自らにプレッシャーをかけることもある。こうして精神面もより本番に近づけることで、練習の質を上げているのだ。今年からピアとリンに指導を仰いでいる有村智恵もやはり1打ごとにターゲットを変え本番に則した練習を行っている。

藍は自らを「フィーリング派」と呼ぶが、かつてフィーリングか技術か、どちらを優先すべきかで迷った時期がある。その時期にピアとリンに出会い、自分がフィーリング派であることを確信してから、たとえば本人がコンプレックスを感じていたシャットフェース(閉じた状態でフェースを使うこと)も「心地良ければ良い」と前向きにとらえられるようになった。

「フェードが打ちたい」とないものねだりをした時期もあるが、ショートゲームやショットの正確性など、自分が今持っているものを最大限に生かすスタンスがトップランナーとなる原動力になってきた。

持ち前のゆったりとしたリズムは体に余計な力が入っていると紡ぐことができない。そこで彼女が練習で取り組んでいるのはテンション(グリップ圧/体の緊張感)を抜く作業。ラウンド前の練習場でバランスディスクに乗り足元が不安定な状態で打つのには、テンションを抜き体と腕のバランスを整える目的がある。ぐらぐらと足元の悪い状態からしっかりとした軸を作る。再現性の高いスイングはそこから生まれるのだ。

もう1つ、海外メジャーを戦う上で日本勢が克服しなければならない課題がある。それは芝質の違いに慣れること。日本よりアメリカでのキャリアが長くなった藍にその必要はないが、米ツアーでの経験がまだ少ない横峯さくらや有村、野村敏京にとって芝に慣れることは至上命題である。

例年よりラフは長くないが、フェアウェイでも微妙にボールが沈むライでは、ボールが浮いた状態で打てる日本と違い、より正確に球にコンタクトする必要がある。各選手の入念なアプローチ練習はミッション・ヒルズCCを攻略する上で重要なファクターというわけだ。

練習のための練習をしても成果は上がらない。要はいかに目的意識を持って課題に取り組めるか。ティーグランドに上がる前、すでに勝負は始まっているのだ。

(W流 by WOWOW)

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