2024年 パリ五輪

「“私だけの体験”に感謝」笹生優花はフィリピン→日本代表で狙うメダル獲り

2024/08/07 06:15
笹生優花(左)、山下美夢有らチームジャパンでメダル挑戦

◇パリ五輪 女子 事前(6日)◇ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)◇6374yd(パー72)

3年前の東京五輪にはフィリピン代表として出場した笹生優花が、日本代表としてパリ五輪に臨む。前回オリンピック後、2021年8月のうちに日本国籍を選ぶ手続きを完了。重国籍者は22歳になるまでに国籍の選択をする必要がある日本の国籍法に対応するためだった。

父・正和さんによれば、違う国の代表としてオリンピックに出るためには、間に3年を挟む必要があるという。ただ、東京五輪は新型コロナウイルス感染拡大によって1年延期された経緯があり、笹生のパリ五輪での日本代表入りについては国際オリンピック委員会(IOC)からも早々に「開催が遅れたためで、個人の過失ではないから問題ない」とのお墨付きを得ていた。

全米女子オープン2勝を引っ提げて参戦

「前回はフィリピン、お母さんの国を代表して戦った。今回はお父さんの国を代表して戦う。それを体験できるのは私だけだと思いますし、再びこうしてオリンピックに参加できることに非常に感謝しています」

ルーツを持つ2つの国、何より両親への感謝の思いを胸に戦うのは、メジャー「全米女子オープン」での2勝にも通ずるものがある。五輪代表入りを決定づけるタイトルともなった6月の大会2勝目には、涙ながらに「2021年の優勝は母への恩返し。(日本国籍を選択して戦った)今回は父に恩返し」と話していた。どこまでも純粋な気持ちが根底にある。

東京五輪はフィリピン代表で9位

幼少期からメジャーの頂点を目指し、厳しいトレーニングと練習を重ね、語学力も磨いてきた。メジャーと価値を比較されがちなオリンピックについて、男子で金メダルを獲得した世界ランキング1位スコッティ・シェフラー(米国)の涙から重みを推し量る。「メジャーはゴルファーとしてはヒストリーがある特別な試合。オリンピックは4年に一回しかない。そういう意味でシェフラーにとってもすごく意味のある大会だったんじゃないかな」

憧れのマキロイが最終日に池に落とした15番

3年前は初日3オーバー47位と出遅れながら、2日目以降60台をそろえて9位に食い込んだ。「初めてのオリンピックとしては悪くなかったけど、メダルを獲るには十分じゃなかった。今年はいいスタートを切って、メダルを獲るチャンスをつかみたい」。いつもフラットな23歳は珍しく具体的な目標を口にした。(フランス・ギュイヤンクール/亀山泰宏)

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