爆音BGMにセルフィーをねだるギャラリー 稲見萌寧「ミスしたけど、楽しいな」
◇米国女子◇ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ 初日(18日)◇レイクノナG&CC (フロリダ州)◇6608yd(パー72)
後半7番ではグリーン右手前からの寄せが2mオーバーし、3パットを喫してのダブルボギー。ティショットがバンカーにつかまった8番もスコアを落とし、最終9番(パー5)も3mほどのチャンスを惜しくも決められなかった。
稲見萌寧は「ちょっと最後の方にエネルギー切れしちゃったかな」と苦笑しつつ、「最後にミスしてしまったけど、それでもやっぱり楽しいなと思えた」。1バーディ、2ボギー1ダブルボギーの「75」で3オーバー32位。数字だけ見ればほろ苦い米ツアー本格参戦のスタートにも、表情は明るかった。
「ドキドキ感もあった」というスタートからショットが安定。テーラーメイド Qi10 LSを投入した1Wショットに加え、持ち味のセカンドでも手堅く手前から攻めて着実にグリーンを捉えた。わずかに外れる場面が続いたパッティングは「グリーンのスピード感とか、傾斜の感じが日本にない感じ。まだ慣れていないというか、うまくかみ合ってくれてないなー、と」。ストロークは納得でも、環境の変化にアジャストしている段階だ。
日本でのプレーを振り返れば、集中力を研ぎ澄ませ、時に張り詰めるような感覚もあった。「こっちは全然違う雰囲気。音楽が流れてるし、みんなしゃべるし、スマホで撮ってるし…(笑)」。今週は18番のグリーンサイドに大きなスタンドが作られ、ギャラリーは大音量のBGMに体を揺らし、お酒を片手に選手たちのプレーを楽しむ(さすがにグリーンサイドで爆音のBGMは米ツアーでも少数派だが…)。
そんな“文化”の違いをポジティブに受け止めている。「フレンドリーな感じ、オープンな感じで楽しいな、と」。最終9番では、グリーンに向かって歩く稲見が現地のギャラリーから声をかけられ、2ショットでセルフィーに収まった。
ゴルフのスキルを高めてくれる環境であることも、18ホールで改めて感じられた。前半14番、ピンそばにキャリーしたセカンドのウェッジショットが傾斜で右サイドのカラーまで転がった。「あと『2ヤード』手前のイメージだった。下が硬くて飛びそうなことを考慮して打っても、さらに飛んだ。このコースとか、ホントに(クラブが)きれいに入らないと、うまく打てない。そういう(シビアな)方が好きなので。それがうまくいったらすごくうれしいですし、ミスしても『ここが足りないんだな』ってポジティブな気持ちになれる」
予選カットもない開幕戦で、巻き返しのチャンスは54ホールも残っている。「スタートダッシュはちょっとうまくいかなかったけど、これをバネに、どんどん上に行けるように」。新たな挑戦がモチベーションをかき立てている。(フロリダ州オーランド/亀山泰宏)