“低くなった”トップ 渋野日向子「けがによって得たものもある」
◇米国女子◇フリードグループ スコットランド女子オープン 事前(2日)◇ダンドナルドリンクス (スコットランド)◇6494yd(パー72)
シーズン序盤に比べると、渋野日向子のスイングはトップの位置が低くなった印象がある。昨年まで取り組んだフラットな軌道のスイングに戻そうとしているわけではないようで、本人は「あんまりトップの位置とかを意識してない感じ」と話す。
シーズン開幕から縦の動きを目指し、トップが下がらないようにすることがメインテーマだった。ただ、高さにフォーカスするあまり「『(絶対に)そこに上げなきゃいけない!』ってやり過ぎて手が力んで、(結果として)ここ(左手の親指付近)に来てしまったのかなーとは思ったりもした」。シーズン中盤の苦しみにつながった左手の痛みが出る遠因になった可能性もあるという。
長いシーズン、これからも続くキャリアを見据えれば、再び痛みが出ることのないスイング作りは欠かせない。身体の使い方、特にあばらを意識し、力みなくスムーズに腕を上げていくことで、トップは自然とシーズン序盤よりも低いポジションに収まっている形。プロアマに入らず練習場での調整のみだったこの日は当然打ち込む量も増えたが、「あれだけ打っても痛くなかったし、硬い地面でも大丈夫。まだまだですけど、これでやっていけば、手の負担が少ないというのも(打ち続けて)分かる。けがによって、いろいろ得たものもあると思う」と前を向く。
前週「アムンディ エビアン選手権」で6試合ぶりに予選を通過。4日間を戦い抜いて見える課題を受け止め、メンタル的な上向きも感じながらスコットランドへ乗り込んできた。昨年「AIG女子オープン(全英女子)」では、当地から車で2時間ほどの場所にあるミュアフィールドで3位に入った。メジャーでの優勝争いを経てもなお「まあ、安定に難しいです」とリンクスコースへの警戒心を解くことはない。
1年前は予選落ちを喫したダンドナルドリンクス。「グリーンが“うるさい”」と表現するほどの厄介なアンジュレーションに加え、「友達になるのも大変。敵でしかない」と苦笑するレベルの強烈な海風が吹き荒れることも。「(天候次第で)すごく難しいとは思いますけど、どれだけ自分のやりたいことができるか。試合でこなしていくしかない。頑張ります」と力を込め、まずは3度目の大会出場で初の予選通過に集中する。(スコットランド・アーバイン/亀山泰宏)