365日分のデータがみっちり 古江彩佳の基盤をつくる「統計ゴルフ」
◇米国女子◇アメージングクリー ポートランドクラシック 初日(15日)◇コロンビア・エッジウォーターCC(オレゴン州)◇6478yd(パー72)
一日の後半になるほど、グリーンの硬さや風が強まり難易度は上がっていく。午後組からはスコアを伸ばす選手が出にくくなるが、そんなセオリーも古江彩佳にかかれば関係ない。「まだ調整しきれてはいないけど、そこはうまく考えながらやっているつもり」とボギーなしの5バーディ、「67」で3位につけた。
ピンチはゼロではなかったが、リズムが崩れることはなかった。後半4番はバンカーからの3オンで、3mを流し込んでパーセーブ。最終9番は2打目が16ydショートしたが、花道からのアプローチを直接カップインしてバーディフィニッシュ。淡々と目の前の1打に集中して順位を上げていった。
「落ち着いてプレーできました」と、自信の基盤をつくる秘密は暗号だらけのメモにある。各ホールのピン位置が書かれた紙には、自分にしかわからない走り書きがびっしり。ティショットからパッティングまで毎ショットの「記録」で埋められていた。
「アプリを使って、自分のショットがどうだったかを入力しているんです」と、ナショナルチーム時代に身に着けた習慣のひとつ。オーストラリアで開発された『ショット・トゥ・ホール』というゴルフ専門の統計ソフトを使って1打1打のデータを蓄積していく。
入力するのは「使用クラブ」、「ピンまでの距離」、「難易度」、「ショットの結果」など多岐にわたる。データが溜まっていくと、距離別のスコアへの影響度やどこを磨けばスコア改善に効果があるかを統計的に示してくれる仕組みで、以前は畑岡奈紗も使用していたという。ちなみに、一般でも有料で購入が可能なよう。
古江もプロ入り後は一時期やめていたが、昨年の夏ごろから再開。「自分の状態がどうなっているのかが見られるので、少しずつゴルフが変わっていっていると思います」と、1年近く貯めてきたデータが確かな技術を支えていた。
「あしたも、しっかり集中できるように頑張りたい」。目の前の1打が、この先の自分の成長につながっていく。(オレゴン州ポートランド/谷口愛純)