2022年 全米女子オープン

土の上に“イソギンチャク”? 渋野日向子は初心で「世界で一番デカい試合」へ

2022/06/02 07:15
グリーン周りはウェッジかパターで対処。「UTは一回も持ってない」

◇海外女子メジャー◇全米女子オープン presented by プロメディカ 事前(1日)◇パインニードルズ・ロッジ&GC(ノースカロライナ州)◇6638yd(パー71)

4月「パロスバーデス選手権」を終えてから日本へ一時帰国していた渋野日向子は前週に再渡米。4位に入った「シェブロン選手権」に続く今季2試合目のメジャーに臨む。「日本に帰って、(米国へ)行きたくないってなるかなって思ったら、全然。全然、進んで行ってた。サヨナラ~って(笑)」。気持ちを新たに主戦場へ戻ってきた。

ドナルド・ロス設計を感じさせるコースは「総合力が求められる」

開幕前日に8番までの前半を最終チェックして事前ラウンドは合計2.5ラウンドを消化した。最も警戒するのは傾斜が強く、砲台状になっているホールも多いグリーン。サイドや奥に外せば厄介な寄せを強いられるだけに「初心に戻って、まずはグリーンに乗せることを(最優先に)できたら。なるべく“奈落の底”に落ちないように気をつけたい」。外したときの対処も持っている引き出しの活用にフォーカス。UTでのアプローチは一度も試すことなく、ウェッジかパターで傷口を広げないプランを練った。

安定したフェアウェイキープはマスト。「ショットが良くないと、いけん」

今となっては当たり前のように繰り返す「マネジメント」への意識が高まったのも、2020年12月の本大会で優勝争いを演じたタイミングだった。今回対峙する名匠ドナルド・ロス設計の舞台も「すごくマネジメントしがいがあるコース。グリーンを狙うショットは特に」

イメージ通りのエリアに落とし、多少距離が残ってもバーディパットを打ち続ける展開に持ち込むためには、安定したティショットも求められる。一見ワイドなフェアウェイは、サイドの砂地へいざなう傾斜が悩ましいところ。その先で待ち受けるのはバンカーだけでなく、「あのよく分からん、土の上に“イソギンチャク”が生えたみたいな…何ですか、あれ?」。硬い茎を持つワイヤーグラスを見て苦笑しながら、タフな戦いへ決意をにじませる。

直近は日本で予選落ち。「スイングをちょっと見直しながら」調整

「やっぱり、世界で一番デカい試合。世界中の女子が集まる試合ですから。賞金も高いですし」。賞金総額は前年550万ドルの2倍近い1000万ドル(約13億150万円)に増額された。果てしないスケール感に対し、「UFOキャッチャー代を稼ぎたい」と限りなく庶民的な願望を明かすリップサービスで笑いを誘った。渋野らしい力感で大一番に挑む。(ノースカロライナ州サザンパインズ/亀山泰宏)

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