肩を震わせ居残り練習 渋野日向子はグリーンで「イメージ湧かなかった」
◇米国女子◇パロスバーデス選手権 presented by バンク・オブ・アメリカ 初日(28日)◇パロスバーデスGC (カリフォルニア州)◇6450yd(パー71)
憔悴(しょうすい)し切った表情でグリーンを下りる。「76」と記したスコアカードを提出するなり、渋野日向子は練習場へと向かった。手で目頭を押さえ、肩を震わせる。パッティンググリーンで居残りの調整に取り組むまでに、少し時間がかかった。
パロスバーデスGCのインコースは敷地内の高いエリアから太平洋に向かう形で始まる。冷たい海風が強くなり、グリーン上のポアナ芝が伸びる午後。出だし10番で渋野の3mのバーディパットは「良いラインにつけたけれど、かすりもせずに外れた」。続く11番(パー3)で第1打をグリーン手前のバンカーに入れてボギーが先行。3m前後のチャンスを決めきれないまま、UTでのティショットを右サイドのラフにこぼした17番(パー3)で再びボギーをたたいた。
巻き返したい後半アウトの入り口、1番でフェアウェイ右サイドからの2打目が木に当たり、真下にポトリ。40ydほどのウェッジショットは下り傾斜に当たってピン奥3mのパットを残してボギーにし、その後もスコアを落とした。
「(ボールが)跳ねているのも多かったし、自分が打ちたいところに打ち出せない回数が多かった」とグリーン上で何度も天を仰いだ。6番(パー3)、5mのバーディパット。インパクト直後に顔を上げてカップ際を通過するボールを見送った。「下りはオンラインでショートが多かったが、フック(ライン)はめちゃくちゃ左に外していた。上りも、ほぼ真っすぐも。自分が思うよりも(ボール)1個分、ズレていることが分かりやすく見られた」
これほど静かなバーディがあっただろうか。7番(パー5)、7Wでの2打目はピン右1.5mについた。イーグルパットはカップの左へ。「入るイメージは湧かなかった。タッチを合わせようと思って、結局、緩んじゃって。自分の思うところから(ボール)1個(左に)ずれている分、あれだけの距離であれだけ(左に)外してしまう」。さらに上がり2ホールも 2m以内を左に外してスコアを1つ落とした。
5オーバーの131位と大きく出遅れ。数字や結果よりも悔しいものがあるから、込み上げるものがあった。苦しい時こそ、支えてくれる仲間がありがたい。ショートパットの練習を繰り返すうちに、少しずつ笑顔が戻った。「フォワードプレス(バックスイングの前に手を前に出す動き)が少なくなっていると言われた。自分が思うよりも右側に(ボールを)打ち出す感じでやっていたら結構、良い感じ」。そのわずかな感触が今は頼り。「あした、できるかな、できるといいな。ここまで来たらやり切ります」と視線を上げる。きょうの夕食は、おうちでハヤシライス。「切り替えて、食べて、よく寝て。この位置にいるのでガンガン攻めていかないと。その中でも自分のゴルフを忘れずにやりたい」と2日目の朝を見据えた。(カリフォルニア州パロスバーデス・エステーツ/桂川洋一)