服部道子コーチ「楽しめる余裕があるといい」 畑岡、稲見が最終調整
◇東京五輪 女子事前(3日)◇霞ヶ関CC東コース(埼玉県)◇女子6648yd(パー71)
初日のペアリングが発表された月曜日、服部道子コーチは畑岡奈紗、稲見萌寧の2人と一緒にパッティンググリーンにいた。「畑岡さんは自分の(世界)ランキングと、自国開催っていうところで、『やっぱり来たな』っていう感じで、言葉を発せずに気合が入ったっていう表情をしていました」。服部コーチもあえて言葉をかけることなく、隣で静かにうなずいていた。
畑岡は世界ランク1位のネリー・コルダと、同2位のコ・ジンヨン(韓国)とのペアリング。「分かっていてもプレッシャーは感じると思うので、あとはやるべきことを一つひとつ。彼女だったらやっていけるんじゃないかなって思います」と、願いはいつも通りのプレーをしてくれること。
「彼女には言っていないけど、少し楽しめる余裕があるといいなって。私たちはなにもできないけど、応援して一緒に戦うつもりでいるので、タフなシチュエーションでも集中しつつ俯瞰して、(キャディの)グレッグとともに楽しめるところがあればいいのかなって思います」という。準備は十分に重ねてきた。あとは過度な重荷を背負わずに、ゴルフを楽しむことも良いパフォーマンスを生むひとつの秘訣ということか。
開幕前日、畑岡とイン9ホールをともにラウンドした稲見萌寧。稲見のバッグを担ぐ奥嶋誠昭コーチは「いつもと変わらないですね。(状態が)良いのか、悪いのかも、いまいち分からないまま進んでいます」とあっけらかんと言う。
稲見本人は終始バックスイングを気にするそぶりを見せていたが、それすらも「いつも通りです」という。「本人がこのあとの数時間(の練習)で、どこまで見つけられるか。手伝いはしますけど、結局最後は本人なので。基本はどれだけ思ったように打てるか。そこまで行けば、チャンスはあるんじゃないかなって思います」と続けた。
服部コーチは日本勢のメダル獲得の可能性について、「もちろんあります。だいぶ良い状態ですし、ありますね」と力を込める。男子の戦いはテレビにかじりついて眺めていて、「この灼熱の中、たぶん身体は疲れてなかなか思うように動かなかったと思うけど、特に最後の5ホールは、彼(松山英樹)の思いを感じました」と心を打たれた。
いよいよあす4日、日本初のメダル獲得を目指す女子の戦いが幕を開ける。強く、静かに、その思いをコース上で表現する。(埼玉県川越市/今岡涼太)