「全米女子」は“自己最難関”をまた更新 渋野日向子「難し過ぎるので逆に楽しみ」
◇海外女子メジャー◇全米女子オープン 事前情報(1日)◇オリンピッククラブ(レイクコース) (カリフォルニア州)◇6457yd(パー71)
渋野日向子がメジャー2勝目へ向けて「全米女子オープン」最終日を単独首位でスタートした昨年12月から、まだ半年も経っていない。「去年の良いイメージはありますし、リベンジしたい気持ちはあるけれど、どうしてもそうさせてくれない。来たら分かると思うけど(難しいので)期待しないで!」と冗談っぽく語る渋野の言葉は、どうしても笑顔に引っ張られて深刻さが伝わりにくい。
だが、このわずかな期間に大胆なスイング改造に着手した渋野は、国内ツアー4試合、米ツアー5試合を戦って最高は国内11位。米ツアーでは30位を切れておらず、「まだ勝てるような要素がない。今持っているものを発揮してどれだけ行けるか」と、目の前のことに精一杯というのが現状だ。周囲の期待は理解しつつも「(余計なことを)考えている余裕がないくらいのコースコンディション。自分がやるべきことを忘れないように、一番はラフに入れないようにフェアウェイキープを頑張りたい」と手元足元に集中する。
開幕2日前(火曜日)は、チョン・インジ、ジーナ・キム(アマ)と練習ラウンドを行った。インジのコーチであるウォン・パーク氏は「オンプレーンだし、全英を勝った時より良いスイング」と渋野をほめたが、実際ドライバーショットもアイアンショットもここ数週間で安定感を増していて、それは本人も認めるところ。
ただし、今週はコースが手強い。各ホールは丘の上にあるクラブハウスから両方向に広がりながら、段々畑を降りるように下っているため、多くのフェアウェイは左右どちらかに傾斜して、フェアウェイを外れると深く密集したラフが待ち受ける。「ラフに入ったらボギー覚悟。ボギー以上を打たないようにどれだけ耐えられるかというところ。80を切れる気がしない!」というのも、開幕前の率直な印象に違いない。
「(海外メジャーに)来るたびに、『ここが一番難しんじゃないか?』を更新しているけど、ここもまた更新していると思っております」
それでも、勝てる可能性がゼロということはない。「いつか勝ちたいし、それが今年じゃなくて先かもしれないし、何回挑戦しても勝てないかもしれないけど、その挑戦することに意味がある。ここに出られていることにも意味があるので、しっかり今まで以上に強い意志を持って戦いたい」というのがアスリートとしての渋野の決意だ。「難し過ぎるので逆に楽しみ」と、どんな経験も糧にして成長する。(カリフォルニア州サンフランシスコ/今岡涼太)