「全英より濃いゴルフ」 渋野日向子は“逆算力”で首位奪取
◇海外女子メジャー◇全米女子オープン 2日目(11日)◇チャンピオンズGC (テキサス州)◇サイプレスクリークコース 6731yd(パー71)、ジャックラビットコース 6552yd(パー71)
首位と1打差の2位から出た渋野日向子が、通算7アンダーの単独トップに浮上した。ジャックラビットコースを6バーディ、2ボギーの「67」。2コースを通じ、この日のベストスコアをマークした。日本人史上初の海外メジャー2勝目を懸け、決勝ラウンドに臨む。
前日のサイプレスクリークコースよりフェアウェイやグリーンが狭く、確実性を求められる18ホールで4ストローク伸ばした。後続に3打のリードをつけたが「今のうちに写真を撮っておきたい順位ですね」と笑いながら謙そんした。コース内にスコアボードがなく、順位を知ったのはホールアウト直後だったという。
パーオン率は2日間合計で、全選手中2位の81%(29/36)。ミスを最小限にとどめた予選ラウンドを終え「この2日間は(意識として)なかったことにして、また2日頑張らないといけない」と気持ちを引き締めた。
雷雨予報のため、第2ラウンドはティオフが1時間20分前倒しされた。「耐える前提としてパー5でバーディを獲れたら良いと思っていた」とスタートホールの1番(パー5)で着実に伸ばした。残りのパー5は9番、10番と続く2ホール。パーからバーディとし「10番で獲れないと流れが悪くなるなと思っていた」という懸念を断ち切った。
昨夏に42年ぶりの日本人メジャー覇者へと押し上げたのは、ピンを果敢に狙い続ける攻めのスタイルだった。「全英では本当にピンを狙って、その後のことは考えていなかったですね」
今季の不調の中で痛感した一つが、逆算力やコースマネジメントの重要性だ。ショット力という武器を生かすため、緻密なコースチェックを欠かさない。「今はバーディパットを打つ位置を考えながら、セカンドショットを打っている。そこは今までなかったことですかね」と言った。「自分で考えて、内容の濃いゴルフができている。自分的には全英より良いゴルフをしているなと思っています」
バーディを奪取した終盤17番では、苦手とする左からのアゲンストの風が吹いていた。160ydの第2打を前に「左サイドに行くと厳しくなる。奥に行くと池もある。ピンの右奥に行けば」と判断したが、抑え気味のショットを引っかけてピン下のストレートラインについた。「風で返ってきてくれて、結果的に良いショットになってくれた。これはラッキーでしたね」。バウンスバックにつながった一打を喜びつつ、過程を冷静に分析した。
決勝ラウンドは、初日と同じサイプレスクリークが舞台。3日目はリン・グラント(スウェーデン)、ケイトリン・パップというアマチュア2人との最終組になる。風は2日目より、強まる予報だ。「やっぱり耐えるゴルフが必要になる。優勝できればそれが一番うれしいですが、しっかり一打一打をちゃんと考えながらやりたい」。やり続けるべきことを強調した。(テキサス州ヒューストン/林洋平)