2020年 全米女子プロ

締めのパットは表彰式の真っ最中 渋野日向子は“最終組”の後ろでラウンド

2020/10/12 14:15
渋野日向子は優勝者が決まった直後の18番グリーンへ向かった

◇米国女子メジャー◇KPMG全米女子プロゴルフ選手権 最終日(11日)◇アロニミンクGC(ペンシルベニア州)◇6577yd(パー70)

渋野日向子が最終18番のパーパットを沈めたとき、あらぬ方向から拍手が聞こえてきた。目の前にあるパッティンググリーンでは、まさに表彰式の真っ最中。渋野が18番をプレー中に前を回る“最終組”のキム・セヨン(韓国)がメジャー初タイトルをつかんでいた。「なかなかない、優勝シーンを後ろから見るというのも経験できた」と笑った。

3日目を終えて首位のセヨン、2位タイのブルック・ヘンダーソン(カナダ)とアンナ・ノルドクビスト(スウェーデン)という本来ならアウトコースから最も遅く出るはずの3人の後ろから、渋野の組を含めて下位選手3組がプレーする異例の措置。

コロナ禍で6月から延期となった大会は自動車レースNASCARと日程が重複し、テレビ放送の都合でスタート時間を前倒し。日照時間が短くなる時期で朝早くプレーを開始するにも限界があるため、非常に珍しいケースが発生した。

渋野が前半8番(パー3)を迎えたときは、優勝争いをリードするセヨンの組が折り返しの9番(パー5)に入り、いくつかのホールで仕事を終えたボランティアスタッフが引き揚げてくるタイミングでもあった。無観客のはずの大会は8番グリーン周辺だけ一時的に“ギャラリー”が増え、その視線を集めた渋野が奥からチップインバーディを決めて大歓声を浴びた。

土手に当てて勢いを殺しつつ、下り傾斜に乗せて流し込む一打に「オーバーしてもいいから(グリーンに)乗ってくれたらと思っていた。予想をはるかに超えたショット」とニッコリ。いくつもの状況が重なって、見る者を魅了して味方につける、渋野らしいビッグプレーが生まれた。(ペンシルベニア州ニュータウンスクエア/亀山泰宏)

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