2020年 ショップライトLPGA

「肉じゃが食べたい」 気力復活の河本結を支える母の味と仲間の絆

2020/09/29 12:10
仲間の支えで気力を取り戻した河本結。母の手料理にも感謝

◇米国女子◇ショップライトLPGAクラシックby Acer 事前(28日)◇シービュー・ア・ドルチェホテル(ニュージャージー州)◇6217yd(パー71)

「肉じゃがが食べたい。ずっと肉じゃがでいい」。練習ラウンド中の河本結が、おもむろにメニューをリクエストした。その願いをかなえてくれるのが母・美由紀さん。ツアーから、帯同スタッフとして米国入国後の自主隔離は必要ないとのお墨付きを得て渡米。異国の地で奮闘する娘のために料理の腕をふるってくれるという。

2週前の「キャンビア ポートランドクラシック」で1打及ばず予選落ち。米ツアー参戦1年目、特に7月末のツアー再開から米本土、スコットランド、また米本土と試合に出続けた22歳の心は悲鳴を上げた。「一番、極限までいったと思う。人生で、これ以上つらいことはないと思えたくらいきつかった。リフレッシュする体力もなくて、ずーっと部屋にこもって、1人でずーっと過ごして、みたいな感じでした」と孤独感にさいなまれた。

試合のなかった前週はフロリダ州オーランドへ。同地に拠点を構える畑岡奈紗小平智との交流が活力をくれた。「小平さんのチームの人たちも含めてかわいがってくれて、悩みも聞いてもらった。『時間がたてば、いい経験ができて幸せだったと思える』と言ってくれた。本当に充実した日々を送れて、この2週間を乗り切れるくらいの気力が戻ってきた」と笑顔を見せる。

同学年ですでに世界トップクラスに上り詰めた畑岡との絆はひときわ強い。「私が感じている以上のことを経験して強くなって、いまのなっさー(畑岡)があると思う。同じ舞台で、すごく上位で戦っているんですけど、彼女も彼女なりに悩みがあって、それを打ち明けてきてくれた。そういうのを聞くと、自分だけが悩んでいるんじゃないんだと思うし、本当に背中を追いたいと思いましたね」。貪欲に高みを目指す姿勢に触発された。

練習ラウンドの合間にカメラ目線のサービス。キャディのマイケル・パターソン氏も

河本も覚悟を示す。米ツアーでは一貫して経験豊富な外国人キャディを起用。「ポートランドクラシック」、今週、そして次週のメジャー「KPMG女子PGA選手権」は長年カリー・ウェブ(オーストラリア)の相棒を務め、現在はコロナ禍で米参戦を見合わせているユ・ソヨン(韓国)のエースキャディ、マイケル・パターソン氏にバッグを預ける。

勉強中の英語での意思疎通は思うようにいかないこともあるが、へこたれない。「自分の目標はこっちの世界で勝つこと、世界を舞台に戦うこと。そう考えたら、もっともっと外国の友達をつくりたいですし、自分の居場所を確立したい。英語の勉強、マネジメントの勉強も兼ねて外国人のキャディさんと戦っています」と力を込める。

米ツアーのアジアシリーズが中止となったことで、「KPMG」の後はいったん帰国して日本ツアーを戦い、12月の「全米女子オープン」を見据えるスケジュール。家族や仲間、周囲の人々に支えられながら、より強固な決意で挑む。(ニュージャージー州ギャロウェイ/亀山泰宏)

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