連覇ついえた渋野日向子「何か力んで、怖がって」
◇メジャー第1戦◇AIG女子オープン(全英女子オープン) 2日目(21日)◇ロイヤルトゥルーンGC(スコットランド)◇6649yd(パー71)
ディフェンディングチャンピオンとしての誇りを胸に迎えたメジャー。渋野日向子は誰よりも輝くはずの舞台で、葛藤を明かした。「何か怖がっているのか、アイアンが振り切れない。ドライバーのように振り切れば、真っすぐ行くのに。風のせいにはできないです」。1バーディ、6ボギー1ダブルボギーの「78」と落とし通算12オーバーの105位。カットラインに3打及ばず、連覇への挑戦は2日間で幕を閉じた。
硬いグリーン、吹き荒れる風、コース内にある96個のバンカー。前週初めて経験したリンクス特有の罠よりも、すぐに自らの技術を原因にした。「(連覇へのプレッシャーより)自分のショットに対する不安があった。ティショットが良くなっているのに、なんでアイアンにつながらないんだろうって」。第2打のミスから招いたピンチでダブルボギーをたたいた7番、第1打を振り切れずボギーを喫した8番(パー3)。流れを停滞させたのは、いずれもアイアンのミスだった。
ティショットのフェアウェイキープ率は2日間で75%に対し、パーオン率は2日合計で50%だった。強風への対策として低弾道を求め、右足寄りにボールを置いたが「しっかり体を回せればまっすぐ飛ぶのに。ただ打ち込めず、体が浮いてしまって、左右にぶれる。何か力んで、何か怖がっている。終わってからの練習場では良い動きになるけど、試合になると自分で(動きを)コントロールできていない」。今年初の試合になった6月の「アース・モンダミンカップ」と同じように、本戦の緊張感がスイングにわずかな乱れを生じさせた。
米ツアー連戦へ
「本当に何も知らない状況で行ったことが良かった」と振り返る1年前。恐怖心や迷いとはほぼ無縁で、林間コースを攻めに攻めてメジャータイトルを獲得した。コロナ禍で、前年優勝した国内での試合はまだ開催されていない。「人生で初めてディフェンディングで迎える試合がこの大会。去年と比べられるものではないと思う。けど誇らしい気持ちにさせてくれたのは去年の自分ですね」。過去への感謝を口にし、すぐに視線を未来に向けた。
「すごく悔しいけど、いつまでも経験、経験とは言っていられない。いつまでもクヨクヨしていられない。ショットを良くしてまた戻って来たい」。日本には帰国せず、9月のメジャー今季2戦「ANAインスピレーション」(9月10日~/カリフォルニア州ミッションヒルズCC)に参戦。翌週の「キャンビア ポートランドクラシック」(9月17日~/オレゴン州コロンビアエッジウォーターCC)の推薦出場も決まった。約1カ月、米ツアーに出場する。葛藤を越えた先にある確かな進化を求め大西洋を渡る。