「怖がらずに振る」渋野日向子 名物“郵便切手”パー3で立て直し
◇メジャー第1戦◇AIG女子オープン(全英女子オープン) 初日(20日)◇ロイヤルトゥルーンGC(スコットランド)◇6649yd(パー71)
疲労感に安堵感が入り混じった。前年覇者・渋野日向子は3mを沈めるバーディ締めに「疲れた表情だと思いますね。バーディを獲れて安心しました」と笑みを浮かべた。荒れたリンクコースを「76」で終え5オーバー。最初の5ホールで6打落としながら立て直した。
リンクスの豹変は早朝に覚悟した。前日まで、ほぼ無風。一夜明け、大会のインスタグラムでスターターを務めたローラ・デービース(イングランド)の1番、第1打の映像を見た。「その時点ですごい風。(その後の)それよりも強いのはやばいと思いました」。ピンフラッグがしなり、ボールは流されていく。渋野は風に翻弄されて出だし2ホールでボギーを重ね、4番(パー5)で警戒していたポットバンカーに第2打を入れた。脱出を試みたが、2度もバンカーのアゴに弾き返されてボールが砂地に戻ってきた。
6オン2パットのトリプルボギーをたたき「2回ボールが(バンカー内に)帰ってきたときは初心者に戻ったなと思いましたね」。そう振り返る顔には苦笑いが浮かんだが、ディフェンディンチャンピオンにして低迷したプレーぶりに恐怖心も沸いたという。
本来の果敢な攻めが好プレーを呼び込んだ。9度開催された男子「全英オープン」史上最も短いパー3と言われ、グリーンの小ささからポステージスタンプ(郵便切手)の異名がある難関8番(114yd)。ガードバンカー付近の左サイドに切られたピンに対しロフト52度のウェッジを握った。「怖がらずに振るしかないと思った。自分が思った通りのボールが行ってくれた」と、ピンを刺し初のバーディを奪った。
リンクス初挑戦になった前週「ASIスコットランド女子オープン」は14オーバーで予選落ちを喫した。同大会はグリーン周りでウェッジを握ったが、状況に応じてパターを持つマネジメントも今大会で取り入れた。14番でグリーン奧からパターで下りのフックラインに乗せ、寄せて難なくパー。「きょうは外からパターを何度か使ってパーを拾えたので、そこは修正できた」と6mのスライスラインを読み切りバーディとした15番につなげた。
フロントナインはアゲンスト、バックナインはフォローと変わる風向きでも「ティショットに関してはアゲンストの時も曲がりが少なかったかなと思う。風が強かったからリズムを意識した。後半はほとんどフェアウェイをキープできた」と好感触を残す。1打で順位が大きく動くリーダーボードの中で「(ティショットの好感触が)アイアンにつながらなかったので、もうちょっとだなと思います」と修正点を明確にした。