宮里藍に加え、上田桃子の参戦で見所満載のシーズンに/2008年米国女子ツアープレビュー
2008年度のアメリカ女子プロゴルフツアーは前年度に比べ試合数、賞金総額共にアップし史上最高の年を迎えることになる。特に賞金総額200万ドル(約2億3000万円)以上の試合が「13試合」と、かなり充実している。 新設大会は2月末シンガポール開催となる「HSBC女子チャンピオンズ」や、秋にはロレーナ・オチョアが育ったメキシコ・グワダラハラ開催となる「ロレーナ・オチョア・インビテーショナル」などがある。
2006年に初の賞金女王に輝いたときはツアー6勝を挙げていたオチョアは、2007年シーズンには念願のメジャー優勝(全英リコー女子オープン)を含む8勝。年間獲得賞金もツアー記録となる430万ドルを突破した。飛距離(ツアー3位、平均270ヤード)、アイアンの切れ(パーオン率:ツアートップの73%)、パッティング(平均パット数:ツアートップ)などすべてのデータを見ても上位に入っているオチョアの時代は、数年は続くのではないかと高い評価を受けている。2008年シーズンは、ツアー記録となるミッキー・ライトのシーズン13勝に挑戦するほどの勢いがあるように感じられる。
オチョアのライバルとして真っ先に名前が挙がるのが、2007年度成長株ナンバーワンのスーザン・ペターセン(ノルウェー)。 オチョアの8勝には及ばなかったが、メジャー優勝(マクドナルドLPGAチャンピオンシップ)を含む5勝と、ツアー参戦5年目で大ブレークイヤーとなった。ペターソンはオチョアに負けないぐらいの飛ばし屋(ツアー5位、平均270ヤード)という点に加え、闘志むき出しのスタイルや攻撃的でエキサイティングなプレーには、これからももっとファンが増えていくことだろう。
賞金女王に輝くこと8回と常にトップに君臨していたアニカ・ソレンスタムは、春先の首と背中の怪我が影響し、十分な準備ができないままツアー未勝利のシーズンとなった。コース設計や自身のアカデミー開校、そして婚約などトーナメント会場以外でも多忙な一年を送り、嬉しいニュースもあった。アニカはシーズン最後、中東ドバイにて欧州女子ツアーで見事優勝、大会連覇を成し遂げた。ツアープロのキャリアとしては「既にバックナイン」と言葉にしていたアニカは、2008年シーズンは女王の意地をみせて復活し、「新女王オチョア」との争いを展開してくるような気がする。
ツアー2年目を迎えた宮里藍の2007年シーズンは、賞金ランクや獲得賞金ではルーキーイヤーを上回る成績を残したが、「全英リコー女子オープン」以降の試合は不振が続き、「壁」にぶつかっていた。試行錯誤を繰り返しながらも「フィーリングを大事にしたい」と語る宮里は、予選落ちや下位フィニッシュが多かったですが、最終戦でプレーオフの末に土曜日の第3ラウンドに残る意地を見せてシーズンを終えた。2008年はハワイ開幕前、豪州開催の欧州女子ツアーの試合から始動していきたいと予定を組んでいるようだ。問題だったドライバーコントロールをどこまで調整してくるかが鍵になってくるだろう。
USLPGAツアー日本開催試合「ミズノクラシック」で優勝を飾った上田桃子は、1年間のシード権を獲得し2008年はツアールーキーとして参戦する。日本の賞金女王と世界ランキング上位ということで、普通のルーキーが出場できないようなメジャー試合を含む高額賞金大会にも出場できる。しっかり力を出せば90位以内の賞金シードは問題なくクリアできるだろう。しかし、これまで経験したことのない移動や違う芝生、コースへの対応力が問われる年になると思われる。結果だけを求めずにツアーメンバーの1人に溶け込んでいけるかということも大事なので、いろいろなことを吸収してがんばって欲しい。