<シニア5年目の芹澤信雄が挑み続けるレギュラーツアー>
今年でシニア入りして5シーズン目の芹澤信雄が、フジサンケイクラシックのマンデートーナメントに挑んで久々に本戦出場を果たしました。会場の富士桜カントリークラブは7437ヤードでパー71という距離の長い関東屈指のモンスターコース。飛距離のない芹澤にとっては不利なコースと言ってもいいでしょう。
マンデートーナメントを2オーバーの「73」でホールアウトした芹澤は「今年もダメかな?」と思ったそうです。でも、ギリギリでマンデーを突破しました。
シニアになって毎年挑戦し続けて初の本戦進出です。ところが、いざ本戦の蓋を開けてみると、初日は7オーバーの「78」。参加120人中の109番目です。2日目はさらに叩いてしまい9オーバーの「80」でした。通算16オーバーは112位タイです。
「同じ予選落ちなら最下位のほうが目立ってよかったのに」と芹澤。確かに成績表の一番下に名前があれば目立ちます。しかし、マンデートーナメントと本戦ではどうしてスコアにこんなにも差が出てしまうのでしょうか。芹澤に聞いてみました。
「マンデーではピン位置が、ほとんどのホールで一番手前に切ってあるんです。それに、ショートホールは本戦で使うのより1つ前のティグラウンドなんです。そうすると僕の飛距離でも7番アイアンとかで攻められるんです。ピンが手前で、ティグラウンドが1つ前だと、富士桜も意外とやさしいんですよ」と芹澤は言う。
もうひとつ芹澤にとって不運だったのは、本戦の組み合わせでした。ツアー屈指の飛ばし屋と言われるカート・バーンズと、このところグングン飛距離を伸ばしていると噂される川岸良兼とまわったのです。「ティグラウンドが後ろになって、ピン位置もマンデーとは違うから2番手ぐらい大きなクラブを持たなくちゃならないところに、飛ばし屋とはまた2番手ぐらい違うので、もう何が何だか分からなくなっちゃって……」ということもあったのです。
1996年に日本プロマッチプレー選手権で勝ったときは、飛ばないことを武器にしていたと芹澤は言います。決勝戦の対戦相手は、後に米ツアーでも活躍するようになるブラント・ジョーブでした。圧倒的に飛距離で劣る芹澤は、遠くから先に乗せる作戦で相手のミスを誘い、強敵を破ったのです。
相手がどんなに飛ばそうが動じなかった芹澤ですが、あれから20年近くが経ち、周囲の選手たちの飛距離がどんどん伸び、さらにコースのセッティングもハードになって行く中で、正確性だけでは戦えなくなってしまったということでしょうか。それでもレギュラーツアーに挑み続けようという心意気は並み大抵のことではなく、あっぱれと言ってもいいでしょう。
そこには、藤田寛之、宮本勝昌、上井邦裕といったチーム芹澤を率いる責任感もあるように感じます。彼らから“師匠”と慕われアドバイスを求められる立場です。弟子たちの職場、つまりレギュラーツアーの現場を自分の目で確かめて適切なアドバイスをするためにも、芹澤はまだまだシニアツアーに安住していらないのだと思います。