<やっぱりアジアが好き。塚田好宣の生きる道>
今季のツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は、宮里優作が悲願のツアー初Vを成就させたかたわらで、熾烈な(?)“最下位争い”を繰り広げていたのが塚田好宣である。塚田も今季は開幕戦の東建ホームメイトカップで悲願のツアー初優勝を達成して44歳にして、初めて踏み入れた今年最後の頂上決戦。
年の初めと終わりとで、両方格好良く締めたかったが、最終戦の“ブービー”は、とうとう“ブービーメーカー”となった豪州のマイケル・ヘンドリーと2人して、ダントツの最下位争いの末の称号がちょっぴり残念。
しかし、出場が決まった当初から、この大会はどうも、塚田には似合わない・・・。そんな声も出ていた。その年の勝者と賞金ランキング上位の選手にしか出られないというその高いフィールドが、という意味ではない。昔から塚田をよく知る人たちは言う。
「やっぱり彼は、強い日差しが燦々と当たる場所で、汗をだくだくかきながら、ゴルフをしているイメージが強い」。ツアーの出場権がない時代からアジアを渡り歩いて、とりわけ愛するタイ・バンコクはもはや第二の故郷だ。その印象が強すぎて、12月の日本で寒さに耐えながら戦うイメージは“塚田ファン”の中には皆無だったのである。
それは、本人にとっても同じだったようだ。というか、あの大会の寒さをなめていたかも!? その週は、開幕前日の水曜日までポカポカ陽気だったことも災いした。厚手のセーターも、防寒になるような上着も持ち合わせていなかった塚田は、いざ本番も「こんなに寒いとは思わなくて・・・」。
想像以上の寒さにテンションはガタ落ち。普段のパフォーマンスも当然、発揮出来ない。寒さに首をすくめながらのラウドは、テレビ解説の中で「いつものスイングじゃない。塚田選手はきっと首が痛いんだ」ということになり、それを見ていた関係者から「大丈夫?」とあとから心配までされたそうだ。
塚田は大いにとまどった。「・・・いやあ、自分としては、いたって普段のスイングをしていたつもりだったので」。寒さで縮こまっていたのが、周囲には首痛のせいと映っていたのだと知ってちょっぴり複雑。「いや、首は全然痛くなかった」と釈明すべきか、素知らぬ顔で認めてしまうか。「首が痛かったことにしておいたら、最終戦の成績も言い訳つきますもんね」と、笑った。
今年最後の“初舞台”で改めてアジアへの思いを熱くした塚田は「来年もアジアンツアーのQスクールに挑戦してきます。もはや僕のライフワークですから」。自称ゴルファートラベラーには、やっぱり常夏の舞台がいちばん似合う!?