<藍さんの知名度は、今や言うまでもなく世界規模。それを身をもって証明した選手とは>
本当に、こんな話はいまさらなのだが。今さら言うまでもないことなんだが、あの三兄妹はやっぱり、本当に素晴らしい。沖縄が生んだ珠玉の三兄妹といえばもう、これまたあえて言うまでもない。「宮里三兄妹」のことである。子どもたちには「だんご三兄妹!?」と言われて笑っていたが、今回は真ん中のおだんご(・・・スミマセン!!)、優作の話だ。
先週は、第二の故郷でもある宮城県の、亘理郡にある山元町立山下第一小学校を訪れた優作。ジャパンゴルフツアー選手会が取り組んでいる「ゴルフ伝導の旅」の一環で、スナッグゴルフの講習会と講演会をしに行った。
これはもう、どこへ行っても彼らの宿命のようなものだと思うが、決まって聞かれるのは目に入れても痛くないほど可愛い妹のお話。本人も分かっていて、妹にちなんだエピソードを自ら惜しげもなくわんさかと、披露した優作。
中でも本格参戦から早8年あまり。その間に妹が、どれほどの活躍を続けてきたか。それがもっとも顕著に分かる話題が、優作自身が渡米したときの話だ。
「いや、本当に藍ちゃんは凄いんです」と、ニコニコ顔で切り出した。「何が凄いって、僕がアメリカに行くたびに思うこと」。到着して、入国審査でパスポートを見た係官が、必ず言うのが「もしかして、お前はあのアイ・ミヤザトの親戚か!?」。得意顔で答える。「アイの兄だ」。すると、たちまち羨望の眼差しが向けられ、「世界のアイ」が、どれだけ凄い選手であるか。それが延々と繰り広げられるという。
兄としては(そんなことは言われなくてももう分かっているよ)と言ってしまうところだが、むげにしては藍ちゃんの評判にも関わるだけに、最後まで愛想良く話には付き合うが、内心では「早く入国したいんだけど・・・」。
それは、手荷物検査場でも同じで、キャディバッグに「MIYAZATO」のロゴでも見つけようものなら、検査官にもまた「お前はアイの親戚か!?」。この頃にはさすがに「まあね、僕もアイのことならよく知っている」と、ニヤリとかわしたりすることもあるそうだ。
まさに世界規模の藍さんの知名度が、兄には誇らしいやら、ちょっぴり面倒くさいやら・・・。「いや、でも本当に藍ちゃんは凄いんです」と、妹に改めて心酔しきりの兄。「海外であれほど長く活躍しようと思ったら、それこそモチベーションを保つのは、並大抵のことではないと思う」。慣れない環境に、言葉の問題。「でも藍ちゃんは向こうに行って、すぐに英語にも不自由がなくなり、しっかりと自分の居場所を作った。それがいちばん大きかったと思う」と大活躍を支えた要因を、兄目線で小学校の先生たちにも丁寧に解説していた。
地元沖縄から、東北高校に進んだ藍さん。宮城県の人々にはまさに、「仙台が生んだヒロイン」という思いがあるだけに、なおさらもっとも近しい人の証言には興味津々だ。同じ高校出身には、やはりいまアメリカで大活躍のダルビッシュ有さんもおり、藍さんと3人で一緒にトレーニングをした時期もあるという優作も、「いや、もう本当に、よくぞこの地で凄いスターが2人も生まれましたよね」と言うと先生たちも、なんだかとても誇らしい顔になっていた。
スポーツ選手の活躍は、とりわけ地元の人々にも本当に大きな活力になるということを、改めて実感させられた場面。「次は優作プロ!」と齋藤俊夫・町長にも直々に指名を受けて、「はい、頑張りたいと思います!」と、即答した優作。屈託のない笑顔で応える様子を見ていて本当に、早くその日が来ればいいのにと思ったものだ。
ちなみに、色紙に書いた字の美しさを先生方に褒められると、「いやいや、実は聖志はもっと上手い。アニキはああ見えて師範級。特に楷書はシビれるほど上手いんですよ!」とさりげなく、長兄のアピールも忘れない心ニクさ。この兄妹愛があるから、余計に応援したくなる。