国内男子ツアー

拡大する熱中症の被害・・・そのつらさをプロゴルファーが証言

2011/08/29 09:36
先週の教訓を生かし首に冷たいタオルをあてて熱中症対策をする河井博大

各地で被害が伝えられている熱中症だが、ジャパンゴルフツアーも例外ではない。日頃から鍛え上げた男たちも、その症状には勝てなかった。

いよいよ後半戦に突入した2週前の関西オープンでも、酷暑のラウンドに体調不良を訴える選手が何人か出たが、中でも症状がひどかったのが、5月の日本プロでツアー初優勝をあげた河井博大だった。

会場の小野ゴルフ倶楽部は、プロ転向してすぐの3年間を過ごした思い出のコースだった。古い知人や恩人も多く、なおさら気合が入っていた。その気負いが症状を加速させたかもしれない。

大会初日は気温が30度を大幅に上回り、しかも蒸していた。河井は正午過ぎのスタートに、ウォーミングアップの練習場で、すでに異変を感じていた。

「これまでにかいたことがないくらい、大量の汗をかいて・・・。汗ってこんなに出るものなのか、と。本当に信じられないほど汗が出たんです。そこできっちり水分補給していたら良かったが、甘く見ていた。まさかあんなにひどいことになるとは」と、唇を噛む。

今年40歳。青春時代は、「スポーツ時に水を飲むと脇腹が痛くなる」とか、「体に良くない」と言い聞かされて育った世代でもあり、本人も「もともと、あまり水分を摂るタイプではなかった」という。

「これはやばい」と思ったときには遅かった。足はだんだん重くなるし、「目の周りがちかちかして」。だんだん首の後ろに鈍痛がし始めた。

意識はもうろうとして、「自分では気付いていなかったのですが、あとで周りに聞いたら足はふらついているし、歩く速度もいつもよりかなり遅くなっていたらしい」という。

棄権を決意したのは後半の14番を終えてすぐ。
「キャディと、これはまずい、と」。
スタッフが迎えに行った乗用カートに乗って、すぐに救護所に向かった河井はそのまま約2時間も、簡易ベッドから起き上がれなかった。
その日は、大事を取って宿にとどまり、翌朝に自宅に帰ったそうだが、取り返しのつかないことにならずに済んで、本当に良かった。

「ご心配をおかけして、スミマセンでした・・・」。
翌週の「VanaH杯KBCオーガスタ」では元気な姿を見せた河井。
「でも、今週も暑いので、ちょっと怖いです」と、181センチの長身を縮こませた。
「こまめに水分を摂りながら、回りたいと思います」。
水曜日のプロアマ戦は、首の後ろにひんやり冷やしたタオルを当てながら、神妙に語っていた。

真夏のトーナメントはギャラリーのみなさんも、観戦中の熱中症にくれぐれもお気をつけください。