ツアープレーヤーたちのオフシーズン<中嶋常幸>
2月下旬、愛妻・律子さんと手を取り合って旅立った先は、イスラエル。「聖地」への旅は、敬虔なキリスト教徒でもある中嶋夫妻の、結婚当初からの夢だった。50歳を迎えた今、ようやく長年の夢を実現させた。
行程は、まずエジプトの国境からイスラエルに入って、ヨルダンを横切るコース。その中で、中嶋がもっとも心打たれたのは、イスラエルの首都・エルサレムの丘から眺め渡した壮大な風景だった。
ぐるっと360度遮るものは何もなく「たとえて言えば、日本で福島県に立って、仙台から東京が一望できるイメージ。それがどれだけ壮観か想像できないでしょう?まるで、世界中のゴルフ場を入れてもまだ余るくらいの広さ。そこにはありとあらゆる人種の人たちがひしめいていて…。なんか、狭い日本で細かいことにこだわっていることが、とてもバカらしく思えたよねぇ」
感動を味わう一方で、ちょっと怖い目にもあった。いずれも、あまり治安が良いとはいえない土地柄、街を散策するたびに物乞いや、品物を売りつけてくる人たちに取り囲まれる。
一緒に旅した人の中には、もみくちゃにされ、ポケットに手を入れられてお金を取られたり、カバンをひったくられそうになった男性もいたそうだ。中嶋自身も、成人男性3人に包囲されて押し売りにあった。しかも3人は、熱心に商品を勧める間中、中嶋のウェストポーチからかたときも視線を離さなかったのだ。
「彼らの目線が気になって、こわごわ自分の腰のあたりに目をやると…なんと!!ポーチが全開していたの!なんか、その執念に一気に背筋が寒くなっちゃった」と、振り返った中嶋。
「でもさ、期待に反してそのポーチには、実はタオルとガムしか入れてなかったからね。『残念でした』って言ってやったよ!」
とんだハプニングもあった今回の聖地への旅は、ゴルフとはまったく無縁だったが、大いにリフレッシュして、帰国したようだ。