2010年期待の選手は…!?<尾崎健夫>
先週のシニアと女子と男子の対抗戦「日立3ツアーズ選手権」でもジェット節全開。シニアの賞金王としてチームを初タイトルへと押し上げたばかりか“天然素材”の話術でも、グイグイとゲームを引っ張った。
まずは本戦前日の3チーム合同の共同会見だ。
前半戦の諸見里しのぶ選手とのダブルス戦の作戦は?と聞かれて「ええっとまずは、私がティショットを打ってぇ…」と、たどたどしく質問に答える女王の横峯さくら選手にジェットがすかさず合いの手だ。
「セカンドはボクが打つぅ~!」と、甘えたように続けて、あたりはたちまち爆笑の渦に。
さらに、会見場に飾ってあった花にもひとこともの申して笑わせた。
女子ツアーのテーブルにはあでやかなバラの花。男子には豪華なひまわり。
「そして僕らはかすみ草?! なんだかなあ……」と、哀愁たっぷりの役者っぷりだった。
そして本戦では午後のシングルス戦だ。
男子は石川遼と横峯選手と、3ツアーの賞金ランク1位の激突は、スタート前にわざと顔をしかめて切り出した。
「この対決はどうですか…って、どうもこうも。彼らとは年齢が18歳も違うんだから」と、ちょうどその日、24歳の誕生日を迎えた横峯選手と18歳の石川を前にして、55歳がしゃあしゃあと大幅な年齢詐称だ。
周囲の「じゅうはちぃ?!」とのすっとんきょうな声に観念したように、「ゴメン、19の間違いだった」と、だめ押ししたものだから、もう……。
賞金王も女王も、この人の口にはとうてい敵わなかった。
そして肝心のゴルフでもしっかり魅せた。
通算15勝を誇るレギュラーツアーでのシード権の確保には失敗したものの、年末の予選会・ファイナルQTでは6日間の長丁場を元気に戦い抜いて、来季ツアー前半戦にほとんど出られるランク13位に食い込んだ。
その勢いのまま、3ツアーズの後半戦はあがり2ホールで連続バーディを奪い、石川と3アンダーで並んだ。この最後のバーディが、図らずも女子チームをアシスト。男子チームは3連覇どころか、わずか0.5ポイント差で女子に競り負けて、なんと最下位に沈んだのだった。
しかし、悪びれるどころか「遼くんとさくらちゃんの、若さ溢れる溌剌としたプレーに今日は非常に感銘を受けました!」と冗談とも本気ともつかない口調で感謝を寄せて、「今日のラウンドを、来シーズンに生かしたいと思います」と、ぶち上げたジェット。
本人はけっして意識してそうしているわけではない。なのにいつでもどこでも主役級の存在感を放ってしまう……。“尾崎家”の血は、やはりあなどれない。
来年は、レギュラーツアーでもきっと何かをしでかしてくれるはず。いや、絶対そうに違いない。……ジェットさん、期待しています!