ツアープレーヤーたちの素顔<立山光広>
ジャンボ、ジェット、ジョーは、言わずと知れた尾崎三兄弟の愛称。そのほかにも、トミー(中嶋常幸)、マッシー(倉本昌弘)などはもはや、世界的にも通用するニックネームだ。あだ名をつけられる、ということはそれだけ個性溢れる選手、人気者であるというあかしでもある。とりわけ、ユニークなニックネームを持つ選手たちをここに挙げてみよう。
横田真一(2005年選手会長)=ヨコシン、よこやん、ジョン(特に親しい仲間内で)横尾要=ナナメ(苗字の横尾と、名前の要を文字って。親しい仲間内で)宮本勝昌=トメ(偉人・宮本留吉氏と同じ苗字であることから)藤田寛之=ビッケ(丸山茂樹が命名、70年代に放映された人気アニメ『小さなバイキング』の主人公ビッケに似ていることから)野上貴夫=タカ坊(名前のタカオを文字って)今井克宗=イマカツ、ラ・ボンバ(プロスキーヤー、アルベルト・トンバの愛称でもある。今井が彼の大ファンで、尊敬していることから)
・・・と、まあ、枚挙にいとまがないのだがそんな中にあって、特に昨シーズンにその名を轟かせたのが“番長”こと立山光広だ。11月の三井住友VISA太平洋マスターズ。ダレン・クラークを相手に、優勝争いを演じた。首位と1打差でやってきた最終日の18番パー5。グリーン奥からのアプローチは、あわやチップインイーグルのスーパーショットだった。最後まで大観衆を沸かせたプレーぶりに、がぜん注目が集まった。以来、ロープの外から「番長~っ!!」といった威勢の良い声援を送るファンが増えたのだ。
外見はちょっとこわもて。それでいて面倒見がよく、親分肌なところから、もともと仲間内から“番長”と呼ばれ慕われていた。そのニックネームを、ゴルフファンにも一気に広めるきっかけとなったのだ。
立山のセールスポイントは、なんといっても目も覚めるようなド派手なそのコスチューム。
中でもショッキングピンクを好み、そこに花柄がプリントされたポロシャツやパンツで楽しませてくれる。さらにウェアだけでなく、アニマル柄のキャディバッグや似顔絵入りの傘など、そのこだわりは小物にまで及ぶ。
「・・・ひとりくらい、こんなプロがいてもいいんじゃん?」
一見、ふてぶてしく語る“番長”は、実はシャイで恥ずかしがり屋でもある。
「・・・正直言うと、我に返ったときたま~にね、自分の格好が恥ずかしくなることもある」と、打ち明けてはにかむ笑顔は、思いがけず人懐っこい。そのギャップにこそ、人をひきつける“番長”の魅力が隠されているようだ。