ガルシアの雄叫びで見えた松山英樹のメジャーVロード
セルヒオ・ガルシアのマスターズ優勝に喜んだゴルフファンは多かったのではないでしょうか。アマチュア時代から活躍していましたが、メジャーではなぜか勝てそうで勝てない。お騒がせ者というキャラクターも相まって注目選手の一人でした。74戦目でのメジャー初制覇。今回のマスターズで勝てた理由を、私は2つあると考えます。
勝つ実力はありました。それは、マスターズ前までに米ツアー9勝、欧州ツアー12勝といった成績が証明しています。ただ、メジャーでは何度も優勝争いをしながら勝つことができませんでした。メジャーでのトップ10は実に22回。そのうち2位は4回。単純に見れば「負け」です。しかし、その中には「優勝争いをした」という事実があります。
もちろん、若いうちにチャンスをものにしてパッと勝ってしまえば、楽に違いありません。ただ、それができなかったとき、チャンスを作り続ける根気が必要となります。バーディを取りたいとき、パーオンをしてバーディチャンスを作り続けるのと同じです。ガルシアは、メジャーで何度も優勝争いをするチャンスメイクをし続けてきました。チャンスを作り続けた経験が、プレーオフ1ホール目のバーディパットのひと転がりにつながりました。
37歳という年齢もメジャー初制覇へ背中を押しました。コース外でもいろんな話題を提供していたガルシアですが、年内に結婚することを発表しています。ここ最近は「自分の人生はすごくうまくいっている」という発言が目立っていました。年齢、私生活の落ち着きが、肩の力がほどよく抜けた今回のプレーにも出たと思います。
11位で終えた松山英樹選手。昨秋からの調子の良さもあり、周囲の期待が最高潮に達して迎えたマスターズでした。戦いにくかったでしょう。しかし、これは当然乗り越えないといけないものです。最終日「67」で気を吐きましたが、優勝争いに加わることはできませんでした。もちろん、その実力は持っています。
松山選手がすることは一つ。メジャーでチャンスメイクをし続けることです。優勝争いをし、周りの期待を集める。今回のガルシア優勝で分かるように、すべてのこうした経験は、メジャー制覇へのプラス材料です。焦る必要はありません。また一つ、階段を上ったのですから。(解説・佐藤信人)