20歳高橋彩華「手が動かない」苦悩の2年
◇国内女子◇ニチレイレディス 初日(21日)◇袖ヶ浦CC新袖C◇6548yd(パー72)
20歳の高橋彩華(さやか)がツアー自己ベストタイの「67」をマークし、5アンダーで自身初の首位発進を切った。
朝の練習場。不安だったショットは「インパクトで加速させるイメージに変えたら良くなった」。後半1番からともにピン50㎝に絡め2連続バーディを奪った。終盤8番で唯一のボギーをたたきながらも、「いまはパットが入るようになった心の余裕がある」。笑みに本音を交えた。
2016年の「日本女子アマチュアゴルフ選手権」で最終日に、いまや日米ツアー通算6勝の畑岡奈紗を逆転して優勝。同学年の勝みなみ、新垣比菜らとともに注目株になった。17年7月、1度目のプロテストで不合格。その時期に「パットを打つ前、手が動かない感じになった」。母・真由美さんは「急に期待されプレッシャーになったと思う」と振り返る。
悩みは長期化した。昨季は29試合の出場で予選落ち17回。今季は開幕から5月初旬までの出場9試合で予選通過はわずか1回だった。「短いパットがまったく入らない。本当にどうしようもなかった」。先輩プロ、コーチ、試合会場で頼れるだけ頼った。「家族もいろいろなコーチを探してくれて。でも、なかなか良くならなかった」。様々な握り方を試し、パターも10本以上替えた。
今年に入って予選落ちを重ねる間、「もう帰りたい」と新潟県の地元の母に泣きながら電話したこともある。
悩んでいたパッティングに光明を見いだしたのは、5月2戦目の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」だった。パット前のルーティンを変えた。ボールの後ろからラインを読んできたが、ボールの横に立ちラインをながめすぐにアドレス。「(後ろから見ると)ラインがいっぱい見えていた。いろいろ考えないですぐに打った。結構決まるようになってきた」と声を弾ませた。
1998年生まれ。同学年は7人がツアー優勝を果たしている。「悔しさがあった。置いて行かれている感じがしていた。でも私はパットで悩んだ時期も長かった。だから今やるべきことをやればいいと思う」。柔らかな表情で言い切った。(千葉市若葉区/林洋平)