志願で“芹澤一門”入り 林菜乃子の大きな第一歩
◇国内女子◇ヤマハレディースオープン葛城 2日目(5日)◇葛城ゴルフ倶楽部山名コース(静岡県)◇6564yd(パー72)
風が弱かった午前に「69」で回った21歳の林菜乃子は、通算1アンダーの3位タイ。過去最高位で決勝ラウンドに進んだ。2年前から男子プロ・芹澤信雄(59)に師事したことで、「少しずつ結果が出始めた」。
初参戦した2017年、自身初戦から10戦連続予選落ちした。「右も左もわからない。セッティングや雰囲気、すべてにのまれていた」。神奈川県の自宅付近の高校にゴルフ部がなく、通信制の高校へ進み、近隣のゴルフ場でキャディのアルバイトをしながら切り開いたプロの道。「簡単にレギュラーツアーでの活躍を諦めるわけにはいなかった。どんなことにも耐えられると思った」と振り返る。
「一流の人が、どんなことを考えているか、知りたい」。所属する無線通信機器メーカー・ユピテルとスポンサー契約を結ぶ芹澤に、関係者を通じて指導を依頼した。「一度で良いから私のスイングを見てもらえないでしょうか、と頼んだ。私のような新人を見てもらう意味はないと思ったけど、本気でうまくなりたいと思ったし、後悔はしたくなかった」
17年7月末に試合会場で初めて指導を受けたことが転機となった。ドローを打ちたいと伝えれば、「下半身を先導させ、回転で打ちなさい」と3時間の指導。ボールをとらえるため、ティアップしたボールをティが残るように3Wで打つ、と教わった練習法は試合前の習慣になった。1カ月に1回ペースで見てもらい、「徐々にゴルフの考えもスイングも良くなったと思う」。昨年7月のプロテストに3度目で合格し、同10月の下部ツアー「京都レディースオープン」で優勝した。
今年2月には同じく芹澤に師事する元賞金王の藤田寛之らの葛城ゴルフ倶楽部での合宿に参加した。今大会会場に隣接する宇刈コースが中心だったが、「藤田さんや宮本(勝昌)さんらにマネジメントなどを教えてもらえる」。一歩踏み出して男子のトッププロとの交流が始まった。「周りから見たら、私のような新人が?と思われるかもしれないけど、あのとき、迷わず芹澤さんに頼んで良かった」。恩返しの決勝ラウンドにする。(静岡県袋井市/林洋平)