公傷期間にシードを獲得すると…大山志保の出場義務を免除
日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は24日(日)、昨年10月に「トーナメント特別保障制度」(公傷制度)が適用された大山志保について、シード選手に課される今季21試合の義務試合(対象35試合の60%)を免除すると発表した。今季の出場試合数に関わらず、賞金ランキング50位以内で来季の賞金シード、同50位以内に入れなくても優勝者(ヨネックスレディス)の資格により来季1年間のシード権が付与される。
通常、公傷の適用者には最大1年の休養期間が与えられるが、大山は2017年に賞金シード(50位)を得たことにより、規定に定める翌年(今季)の出場義務試合が発生。大山はこれをクリアするため、公傷期間の満了を待たずして、故障を抱えたまま5月にツアー復帰した。公傷適用者が翌年のシードを獲得し、完治しないままシーズンをまたぐのは、近年では異例のケースだった。
■当初は規定通りの回答
今年の1月下旬、大山はLPGAから、規定通りに義務試合を課すとの最終回答を得た。「選手を守るためのものなのに、何のための公傷なのだろう?ずっと、そう思ってやってきた」。首や背中の痛みは回復の兆しすら見られなかったが、3月からの出場を目指してリハビリを続け、5月「ほけんの窓口レディース」でツアー復帰。6月「ヨネックスレディス」で涙の復活優勝を遂げたが、「この6カ月は本当につらかった」と振り返る。
規定への疑念は深まるばかりだったが、「そもそも間違っていることだと思うので、特別扱いにされるのは嫌だった」と、協会への直接的な免除の申し立てはせず、義務試合をまっとうする覚悟だった。ただひとつ、「自分だけじゃなくて後輩のためにも、このルールは絶対に変えてもらわないといけない」という思いを胸に秘め続けた。
LPGAは18日(月)の定例会議、同週の「アース・モンダミンカップ」会場で行った大山と協会理事との面談などを経て、義務試合の免除を決定。22日(金)に大山へ通達した。
協会のプレスリリースでは「規定は公傷が翌年度まで完治していなかった場合を想定していないものであり(中略)無理に競技に復帰せざるを得ない状況を生み出していました。この事態を鑑みて、今年度の出場義務試合数を免除することを決定いたしました」と、免除に至った理由を説明。「大山志保選手には大変、ご迷惑をお掛けしました」と結び、来季以降に規定を見直す考えを示した。
シーズン開幕からすでに4カ月が経ち、大山は無理を押して7試合に出場。「なぜ今になって、というのが正直なところ。これまでの経緯は残念。21試合は出るつもりでいます」と話したが、その後は問題が解消されたことに納得しているという。(編集部・塚田達也)
※28日配信の「公傷期間にシードを獲得すると…大山志保の出場義務を免除『なぜ今』」の見出しと最終段落を差し替えました