富士に願うこと 北田瑠衣「チマチマしない」

国内女子ツアー「CAT Ladies」初日、北田瑠衣が4バーディ、ノーボギーの「69」（パー73）でプレーして、4アンダー3位でスタートした。前週の「NEC軽井沢72」では予選落ちを喫したが、この日は「ショットがまとまってきた」と自ら及第点を与えた。

スイングが好転したキッカケは「アライメントの調整」。大きく変えたわけではなく、今週帯同する佐藤賢和キャディに、毎ショット、後方から向きだけを確認してもらっているという。2007年から維持する賞金シードは今年で10年目。しかし「今シーズンは全部が噛み合わなくて。こんなこともあるのかな」と、ここまで賞金ランク72位と低迷し、後半戦での巻き返しが必要な状況に追い込まれている。

「昨年もきついシーズンだった。頑張りたい気持ちもあるけど、今はピンを狙えるゴルフができていない。安全に安全に狙っていって、少しでもスコアがまとまればいい」。もちろんシード獲得をあきらめる気持ちはない。毎週良いプレーをして上位に行きたいという焦りよりも、今の自身の状態、調子を受容している。

そんな北田は14日（日）、「気分転換に、人生2度目」という富士山の登山を敢行した。5合目から一気に山頂を目指し、山頂の山小屋で1泊。翌朝にご来光を拝むプランだ。「少しは良い方向に行くように」と祈願。眼下一面に広がる雲海から登る雄大な美しさに触れ、「気持ちが変わった。チマチマしていてもダメ。ゴルフの調子が悪いことも、もう仕方ないって開き直れた」。

「気持ちだけは前向き。あと2日、とりあえずあしたまでもってくれれば」と、いたずらっぽく笑顔を見せたこの日。ツアー通算6勝、プロ15年目のベテランは、決して下を向かない意地がある。（神奈川県箱根町／糸井順子）