イ・ボミ 窮地から今季初Vへ「本当にすごかった」1打
国内女子ツアー「PRGRレディスカップ」最終日は、通算8アンダーの首位タイでホールアウトしたイ・ボミ(韓国)、飯島茜、柏原明日架による三つどもえのプレーオフへ。4ホール目に5mのバーディパットを決めたイが制し、今季1勝目を手中に収めた。
ウィニングパットにも勝る大歓声を浴びたのは、1打差を追って迎えた最終18番の2打目だった。1Wで打ったティショットは、大きく右に曲がりラフ方向へ。プレーオフ進出にはバーディが求められる場面ながら、134yd先にあるピンへの視界は前方の木にわずかにさえぎられ、つま先上がりのライという危機的な状況だった。
枝の下を通す考えもあったが、清水重憲キャディの判断もあり、10ydほどスライスをかけたボールで木の左から回すルートを選択した。風とスライスによる距離のロスも考慮し、手にしたのは8I。イも「本当にすごかった」と自賛した1打は、イメージ通りグリーン手前にキャリーし、ピン奥20センチに止まるスーパーショット。あと一歩でイーグルという起死回生の1打で、最終的に勝利へと導くプレーオフ進出をつかんだ。
持ち球がドローボールのイは、これまで意識的に大きなスライスをかける練習を「したことがなかった」と話す。しかも、ライは出玉が左に向かいやすいつま先上がり。清水キャディも「初めてだったと思う」というシチュエーションながら、イの中では「こんな感じならできるかな?」というイメージが描けていたという。
「クラブと体をオープンにして、(手首を)リリースせずにフェース(の向き)をそのまま打つ感じで、良いスライスが出ました。何回打っても、あのショットは出ないと思います」
「ぜんぶ指示してくれた清水さんのおかげです」と、この1勝でキャディ最多の通算32勝目に並んだエースキャディを称えたが、それもイの高い技術と適応力があってこそ。昨季賞金女王の底知れぬ実力を、改めて示してみせた。(高知県香南市/塚田達也)