成田美寿々 自力で追いつきプレーオフ勝率10割
1.5メートルからのバーディパットがカップに吸い込まれると、成田美寿々は軽めのガッツポーズを作った。「サマンサタバサ ガールズコレクション・レディース」最終日、通算16アンダーで並んだ同じ1992年生まれの同学年、香妻琴乃との直接対決は、プレーオフ1ホール目で決着がついた。
成田はこの日、4月の「KKT杯バンテリンレディスオープン」以来続けてきた、リーダーボードを見ずにプレーするスタイルを封印した。「(以前までは)キャディさんから『いまの美寿々ちゃんは他人を気にしたら崩れちゃうから、ボードは見ない方がいい』と言われていた。(5月と6月に優勝した大会でも)見ていなかった。でも今日は、もう大丈夫かなと、ためしに見ながらやってみようかなと思った」と理由を語る。
今日はリーダーボードをぼんやり見ていたというが、「メンタル面の波を立てずにプレーできた。(順位が)こうなっているからバーディを取らないといけない、というふうには思わなかった」と振り返った。
最終日は最終組となり、1打先行するイ・ナリを追いかける形でスタート。1番でいきなりバーディ、2番でもチップインバーディを決め、首位に立った。追う展開の方が好きだという成田は「2ホール終わって、もう追われる立場になっちゃったと思った(笑)」。
だが、後半の10番でボギー、その後の3ホールもバーディが奪えずに足踏みする中、この日8バーディと猛チャージをかけた香妻に抜き去られた。成田がそれを確認したのは14番。「(香妻が)そんなにいっているのかと思ったけど、残り4ホールあったので、自分のゴルフをすれば追いつける」と冷静さを保つ一方、再び追う立場を自覚し「エンジン掛けられた」と闘争心に火を付けた。
香妻が1打先行してホールアウトした後の17番。残り134ヤードから、自信があるという9番アイアンでピンそば2メートルにつけ、バーディパットを沈めた。「自分の力で追いつけた」という自負心から自然と出てきたガッツポーズは、プレーオフを制したときよりも大きめだった。
ツアーでプレーオフを争ったのは3回目で、勝率は10割。プレーオフに強い理由は「自分でも分からない。気持ちの強さだけは誰にも負けないと思っている」と語るが、父の俊弘さんは「ギャラリーがたくさんいて、自分たちだけ注目されるから、あの子はプレーオフが好きなんです。だから笑顔が『にんまり』になる」と明かしてくれた。(茨城県阿見町/片川望)